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被験体ゼロツーと私  作者: 月夜薊
2/5

そして、さよなら

「え、嘘」

 体の何倍もの大きさの翼に視界を奪われた。ガラスすら破壊する翼で殴られたらたまったものではない。殺される──

 恐怖でばっと座り込んだ私を、ゼロツーは軽々と飛び越えていった。私などには目もくれず、向かったのは一面ガラス張りになった開放的な壁。

「あぶっ……」

 危ない、と言い切るより先に、ゼロツーはガラスに突っ込んでいった。同じように窓を粉々に粉砕して、ゼロツーは大空に飛び立って行った。

 ように見えた気がした。

 大きな翼は風を切ることなく、体は重力に導かれ下へと落ちていく。慌てて駆け寄り下を覗き込むと、地上に小さく赤い物が見えた。

「嘘だろ……」

 失敗作とはいえ、殺してしまっては始末書では済まないだろう。どうすればいい? 動揺を通り越し、一周回って冷静になった頭でそんなことを考えながらエレベーターで下る。せめて、死体は早いうちに回収しなければいけない。

 落ちたであろうと目星をつけた付近を探すと、ゼロツーはすぐに見つかった。血だまりに少女が一人倒れている。そこに覆いかぶさるように、バキバキと酷く折れた翼が力なく垂れている。

 どう運ぼうかと肩に触れると、死んだと思っていたゼロツーはむくりと起き上がった。

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