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被験体ゼロツーと私  作者: 月夜薊
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はじめまして

 あまりに唐突な、上層部からの命令だった。失敗作の処分に困るからお前が引き取ってくれ、家も金も用意するからと。

 指定された場所は高層ビルの最上階だった。だだっ広いリビングには、柱のごとく一本の水槽のようなものが立っている。   

例えるならそう、ちょうど水族館でアザラシが行き来しそうなやつだ。中は緑色の液体で満たされている。

そして横には、中の液体や機械をいじくるための装置が陣取っており、常にピコピコとランプを点滅させ中の状態を私に伝える。

 中には、指示書の通り一人の、いや一匹の少女──失敗作、コードネームゼロツーがチューブに繋がれ液体の中に浮かんでいた。

 とりあえず挨拶でもしようかと、スイッチを押し排水をする。ごぼごぼと液体が抜かれていくのを見ながら、警告書を読み返す。

 私は大切な注意書きを見落としていたようだ。

『水槽の液体はゼロツーの能力を制御するのに必要不可欠である。何があっても全て抜いてしまわぬこと』

 それに気づいたころには、水槽から完全に液体が抜けきっていた。慌てて目をやった水槽の中で、目を覚ましたゼロツーが、真っ黒でくりくりとした目でこっちを見ている。

 あ、ちょっと可愛いな。

 そう思った時、ゼロツーが髪の一部を変質させた翼を大きく広げた。美しい翼は、そのまま水槽の強化ガラスをたやすく突き破った。


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