僕の妹は、世界征服を企む「悪の組織」で、女幹部をしています。
世界征服を企む悪の組織「ワルダス」。
妹がここの女幹部に就いてから二年が経つ。
僕たちきょうだいは、ヒーローに憧れて育った。
「いつかヒーローになって、世界を悪の手から守ろう!」と、誓い合ったものだ。
あれから二十年、二十五歳になった僕は、警察官になった。
人生、夢だけでは食べていけない。重要なのは現実と向き合うこと、なんだと気づいたからだ。
あっさりと目標を変更した僕だったが、妹は違った。
彼女はヒーローになることをあきらめなかった。
大学在学中から、「ヒーロー予備校」に通い、就職活動も「正義の組織」一本に絞った。
しかし、当然だがそこは狭き門だ。多くの優秀な学生が集まってくる。
勝ち抜くのは容易ではない。妹は連戦連敗だった。
心が折れかけた彼女を救ったのは、予備校の恩師の言葉だった。
「悪の組織も受験してみてはどうだい?悪とヒーローは、いわば表裏一体だよ。」
妹は悩んだが、やがて決心した。ヒーローに関われればそれでいい、ということに納得できたのだ。
そして、ついに彼女は内定をもらった。悪の組織「ワルダス」からだった。
多少道は外れたが、彼女は夢を叶えたのだ。
今日も彼女は、スク水みたいな衣装にド派手なメイクを施し、ヒーローと戦っている。
大変だが、毎日充実していると、この間電話した時話していた。
陰ながら妹を応援しようと、僕は思った。
ある日、僕に辞令が下った。
「右の者を、新規発足する『ヒーロー課』に異動を命ず」
驚く僕に、上司が説明をする。
「まあ、そういうわけだ、がんばってこい」
なぜ僕なんですか?と聞くと、少し間をおいて、上司が答えた
「君の妹、ワルダスにいるんだってね?きょうだいが敵味方で争う、いい絵になるという上の判断だ。」
まさか、こんな形で昔の夢が叶うとは。想像もしていなかった。
あすから僕は「スペシャルレッド」だ。