プロローグ 3
──どれくらいの時が過ぎたのだろうか。時間を越えているのに時間経過を気にするなんて変な話だな。
「しかし、驚くほど何も聞こえないし何も見えないな」
何気なく首を回し辺りを見渡しても、蒼白い光の流れしか見えないし、音もなーんにも聞こえてこない。
ただわかっている事といえば、コンドルくんが何処かに向かってアクセル全開で走って行く感覚くらいしかない。多分2999年に向かっているのだろうが、こう、漠然とした不安がつっかえてる感じが否めない。
またしばらくすると、何も聞こえないのも見えないのにもいい加減飽きてきた。不安を退屈が上回り出してきた。俺は蒼白く光る、何もない空へと首を向けておもむろに呟く。
「…早く着かないかなぁ」
そんなことを言ったのが悪かったのか、急にガタン、とコンドルくんに強い震動が伝わり、俺は思わず車体にしがみつく。
ふいに正面を向くと蒼白く光る空間の中に、1ヶ所だけ真っ黒く渦巻いている箇所が出現する。そして、コンドルくんはその渦巻きに逆らえずに引っ張られている。
「あれが、出口…なんだよな?」
誰に訊く訳でもなく、俺の口からそんな一言が漏れる。今まさに引きずりこまれようとしているあの黒い渦巻きの先は、本当に未来の世界なのか?それとも、何もない真っ暗闇なのか?──言い知れない不安が一気に込み上げてくる。
「う、う、あああああああああああぁぁぁぁっ‼」
吹き出した不安と恐怖からくる悲鳴と共に、俺とコンドルくんは黒い渦巻きに呑まれていく──。
以前投稿した後に再確認した際に長ったらしく感じた為分割いたしました。
今後はキャラクターもぽつぽつと増やしていくつもりでございますので、そこまで期待せず続きを待っていただければ光栄です。