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世紀末を旅しよう  作者: 隼理史幸
未来は灰と深緑に彩られる
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少年は知らない閑話 2

ボクがジュウくんから話を聞いた直後にお城から出て、全速力で灰色の空をすっ飛んで行き、大体3分位で目的地を視界に捉えた。


くすんだ十字がシンボルの、ボクらの住んでるお城と同等以上のデカさのお城だ。ボクはその屋上に降り立つと、見覚えのある白衣のおじさんが待ち構えていた。


「やあノゾミ、相も変わらず速いな」

「蛇杖センセ。ボクに話って?」

「ついてきてくれ。話はそれからだ」


蛇杖センセに連れられ、ボクはいつもセンセがみんなを診ている場所に着く。──が、そこにいたのは…


「! き、キミ、どうしたの⁉ なんでまたここに!?」


つい先刻、ボクらのもとを離れた少年が、今度は頭に包帯を巻いて布団に横たわっているのだった。


驚くボクの隣にいる蛇杖センセは彼を見ながら溜め息をつく。


「安心してくれ。命に別状はない。ただ、次は客人として私の前に現れて欲しいと思っていた身としては心が痛むな」

「そう、ですね。命があるに越したことはないね。──ところでセンセ、さっきから気になってるんですけど…」


ボクはそうやって、部屋に入った時から気になってた、この部屋の片隅に分厚い布です巻きにされ猿ぐつわを噛ませた状態でじたばたと足掻くたてがみの子─モンジュを指差す。


モンジュはボクやこの場にいないジュウくんより年上の、この辺りの地域一帯を仕切る一族のひとりで、その後継者。美人でスタイル抜群。けど、ちょっと残念なところがあるのが珠に傷だ。そんな彼女の現場についてセンセに訊く。


「センセ、あのぐるぐる巻きのモンジュはいったい?」

「…結論から言えばそこで寝ている子が彼女に危うく殺られるところだった、ということだ」


そう言って彼は目の前の眠り続いている少年を差す。彼の顔をよく見ると、黒いすすのようなものが付いているのがわかる。


「え、つまりどういう…」

「言葉のままだ。そこでおとなしくさせている阿呆に彼は炭にされかけたのだ。拙僧が割って入らなくては惨事になっていた」


そう言って、センセはモンジュに噛ませてある猿ぐつわを外してあげる。モンジュのほうは、それが取れたとたんに牙を剥き出しにしてセンセに食って掛かる。


「ぶあっ! ドクター! なんのつもりですの!? 気でもお狂いになったの⁉」

「それはこちらの台詞だ。何故に拙僧の貴重な知人を消炭にしようなどと」

「知れたこと! おどきなさいドクター! 貴方も焼却しますわよ⁉」


口に炎を溜め込むモンジュに対し、センセはどこからともなく錫杖を取り出したかと思うと、それを床に付け鳴らす。


「──ふむ、拙僧としたことがお仕置きが足らなかったか? よければもう一度やってもいいのだぞ?」


そう言われたモンジュは口のなかの炎を鎮火し、急にさっきまでの勢いがすっかり鳴りを潜めてしまった。


「あ、あー、その、ええ遠慮ししておきまふわ…」


急に滑舌が悪くなり、借りてきた猫のようにおとなしくなるモンジュ。──なにか怖い目にも合わされたのかな…?


そういえば、以前ジュウくんがオイタしてセンセにお仕置きされたことがあったっけ。あのときのジュウくんも今のモンジュと同じような態度だった。…ホント何をされたのかな?

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