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世紀末を旅しよう  作者: 隼理史幸
未来は灰と深緑に彩られる
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少年は知らない閑話

ボクは濁った空を見上げた。


今日は随分静かな日だ。街の大人たちはお祭りの下準備のために皆引き払ってしまい今このお城にはジュウくん以外に見知った仲の者はいない。


──いや、いた。ついさっき、いや、大分時間が経った後だけど、ボクやジュウくんと同じくらいの歳の男の子がひとりいた。


ボクはその男の子のことが気がかりだった。彼はいままで会ったみんなの誰とも違う心持ちの少年だった。なんと言ったらいいか、まるで親愛の情に嫌悪して─いや、怖がっていた様にボクの目に映った。


何か、そんな気持ちにさせるような経験を経てきたのかな?いや、もしそうだったにしても自分の口から話そうとしない限りはボクの方から訊くのはよくないと思う。


ボクは確かにジュウくんをはじめとしてみんなと笑顔で仲良くしていたいと思う。けど、みんながみんな全部を見せていたいとは思わないことくらいはボクにだってわかる。


ボクにも誰かに見せたくないことくらいひとつやふたつはある。それを無理矢理曝け出させることは下手な暴力よりも質が悪いと思う。


「はぁ…」


溜息が漏れる。正直、あまり悩んでも仕方の無いことなのかもしれない。けど、なんだか気掛かりなんだよね…。


「もろたぁ!」

「!!!」


突如、背後から両手が現れたかと思うと、ボクの胸を鷲掴みにしたではないか。こんなことをする不埒な輩はひとりしか知らない。


「う~ん、ノゾミちゃんまたええ感じに実りおっ──」


何か言っていたようだったけど、興味も無いのでボクはそいつの横っ腹に肘鉄を叩き込む。


「おごっ…!」


手のホールドが解けたところで、追い討ちにボクは翼で3発程殴り飛ばす。


「…なにやってるのかなぁ?ジュウくん?いい加減にしないとコロスよ?」


カッコ悪い体勢で倒れ込むジュウくんをボクはゴミを見るような目で見下ろす。


ジュウくんのほうはというと、いつも通りとはいえなにやら気持ち悪い顔をしている。


「あぁ~、サイコーやん。その最大限の侮蔑を込めたその目~」


そんなゴミみたいな幼馴染に向けて、今度は笑顔で指の間接を鳴らし、翼を羽ばたかせながら言う。


「ごめん、お仕置き足りなかった?じゃあ今度は心臓止めちゃおっか?大丈夫、後で蛇杖センセのとこに運んでくから」

「すんませんでしたごめんなさいやめてくださいしんでしまいますあともっかいだけもませておねがいします」


ものすごい棒読みでひたすら平謝りのジュウくん。てか最後に至っては最低だよ。もう溜め息しかでない。


「はあっ、で、何の用かな?わざわざボクにセクハラかましにだけしに来たわけじゃないよね?」

「あ!せやせや、その蛇杖センセーからの急ぎでの言伝がおったんや。ウッカリ快楽に堕ちて忘れるとこやったわ」

「後半の変態的な言動は相手するの面倒だからスルーするとして、蛇杖センセがいったい何の用?しかも急ぎでって…?」

「そらあわからん。せやけど兎に角早いとこセンセーの診療所に来いゆーてたで。センセーが急ぐって時は大抵アカン時や。ほな急ぎましょ」


ボクは首を縦に振ると、すぐさま外に出て助走しつつ翼をはためかせ、全速力で飛翔する。


「蛇杖センセ、いったい何が…?」


疑問を口にしながらも、ボクは最大速で目的地へと翔んでゆく。

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