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ルーミアの独白

<ルーミア>

”奴隷の買手で最も劣悪なのが子供である”


先輩の奴隷が言ってた事だ


善悪の認識が甘く、軽く残忍なことや非道なことをしてしまい、大人とは違った残虐性があると


故にこの国での慣習である”5歳のプレゼント”に選ばれた奴隷は覚悟を決めなければならないと言われていた


それはどこの奴隷商のでも同じことであった


私もそんな奴隷の一人だった


戦争で両親を亡くした戦災孤児


エルフという物珍しさから、孤児院より誘拐され奴隷商の手へと移った


売り物であるため基本的に待遇は良かった


奴隷たちのうち成人男性は一般的に肉体奴隷と言って農作業、鉱山、工場で働く労働力となった


成人女性は性奴隷、家政婦といったもの


子供はいろいろと幅広くに使われた


基本はこれだがすべてを決めるのは買手らしいけど


(ガチャ)


「ルーミア、エミル、イア、カイル、ノア、ジャン、お前らは今日やってくるジャンヴァルディ候の長女の5歳のプレゼントの商品の候補だ、仕度しておけ」


奴隷商が部屋に入ってきて宣言したこれはある種の死刑宣告に等しかった


「そんなあ! いやだよ!」


「そんなこと言っても仕方ないだろ……」


「そうだよ、選ばれないことを祈ろう」


「案外優良物件かもしれないわよ」


「貴族様の子供だぜ、歪みきっているに違いないだろ」


アルシー様に仕えた後、この時のことを思い出して私はこう思った


”ある種別の意味で歪んで?いたかな?”


でもそのときの私は


「嫌だな……」


嫌だとは感じていた


「でも、もうどうでもいい」


私は絶望していたんだと思う


両親を殺され


また自分も殺されようとしている



そして


彼女(彼)がやってきた


(女の子だ)


(でも、案外女のほうがひどいって話も聞くぞ)


(なるようになるさ)


(やっぱり、怖いよ!)


(私を選ばないかしら)


(なんだろ? あの子から感じるこの違和感……)



「父上、あの子」


(わ、私だ……)


私ははその瞬間人生を半ば諦めていたのだけど


実際のところは……


ルナンさんとのやりとり、そして


”はあ、よかった! 気を取り直して、これから宜しくね! ルーミア!”


あの輝くような笑顔


(ちょっと変わったご主人様だけど、悪い人じゃなさそうだな、それに)


そう感じて、これからの希望を持ったの


一種の決意と共に


『彼女の笑顔を守ろう』って


「それでなのですが、この部屋にはベッドは一つしかありません」


「予備ないの?」


「はい」


「私は床で寝ます」


これは奴隷として当然の事


「それは駄目!」


さっきとは変わって普段の言葉づかいになるご主人様


「でも」


「私と一緒に寝よ!」


そして満面の笑み、反則です……


「アルシー様いやらしいです」


ルナンさんは別の何かを察したようでそういいましたが


「ちょと! 今は煩悩は無いの!」


「本当ですか?」


「ほ、本当!」


「ちょっとは?」


「ある」


勘ってすごいと思います


「…………」


「誘導尋問反対だよ!」



「ご主人様がいいのならいいんですけど……」


残念なことにこの私のつぶやきは二人には届かなかったようですが、これが本心


「ルーミアは私の部屋で」


「そんなあ! あんまりだよ!」


ご主人様が”まいどりーむがー”とまたよくわからない事を叫んでおられますが


(明日、ご主人様と一緒に寝ても良いってルナンさんに伝えよう)


ちょっとご主人様が可哀そうなのでそう伝えようと思います


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