五歳のプレゼント
誕生会の後
アルシーとその両親と側仕え数人はとある商館を訪れていた
「ようこそいらっしゃいました、お話は前々から伺っておりましたので最高の物を用意できております」
「ほう、そうか」
「はい」
「父上? ここは?」
「ここは奴隷商だよ」
「奴隷?」
(え、マジで? 5歳のプレゼントが奴隷だって!)
「アルシーの好きに使える側仕えって感じだよ」
「……へえ」
(もっと詳しいことしってます、父上……)
「では、案内しますので来て下さい」
奴隷商人に連れられて入った部屋には6人の奴隷がいた
「今、アルシー様にお売りできるのはここにいる6人です」
「アルシー好きな物を一つ選んでくれ」
(物扱いか……きついな)
「うーん」
全員を見渡していたアルシーだが
(うわ! あの子めっちゃかわいい! マジでタイプなんですけど!)
一人のエルフを見つけた
「父上、あの子」
「……そうか」
(あれ? さっきと同じ目?)
「これはこれはアルシー様はお目が高い! あれはエルフ族の20歳の娘で、もちろん生娘で……」
「おい、娘に変なこと吹き込むな!」
「こ、これは失礼おば」
「父上? 生娘って?」
(ちょっと、知らないふりしておこう)
「お前、後で話がある」
「ひ!」
「アルシー、今は知らなくてもいいことだよ」
「そうなの?」
「そうだよ」
「わかった!」
その時奴隷商がホッっと息をついたのを知る者は居なかった
(ん? まてよ、俺、やっちまった?)
彼が自分(男)目線で選んでしまったことに気付くのにそう時間はかからなかった
=====================================
[ドルイ・ラ・ジャンヴァルディの日記]
皇紀4050期 アルダーノの月 二つ
今日は我の愛娘の5歳の誕生会だった
以前から娘はほかの同年代の子とは少し違うと思ってはいたのだが今日それは確信に変わった
あまりにも人を判断できすぎている
これは5歳児としては少々異常だとは思う
しかし、我の娘であることは変わらない
あの笑顔や泣き顔は我の愛おしい娘の物だ
それとプレゼントを選ぶ時にも若干思うところはあった
選ぶ視点がおそらく……
いや、これは考えないでおこう
もう少し様子を見てもいいと思う。
それと、フォンダー候にはそれとなく来期の支援額を増やすと伝えたら
泣かれたのは我も驚いた
=====================================




