マリエール・ロロ・カラフィナ
私、マリエール・ロロ・カラフィナは第6夫人の子としてカラフィナ公爵家長女として生まれた
私の母は平民だったので正式に夫人として迎えいれられたのは私が生まれてから10年たった今年だ
それまでは妾という立場だったので私に対する態度も非常に厳しかった
『何よ、娼婦の娘のくせに』
『どうせ公爵殿下の目にも止まってないのよ』
『あっちへ行け、この血族の恥!』
『誰貴方? わたくしたちに話しかけないでもらえるかしら? 妾の子の分際で』
そんな心ない言葉の中私は生きてきた
なので、私は自分は平民だと思って生活するようになっていた
でも1年と少し前私に魔法の才能があると分かるとお父様の目にとまるようになった
そしてちょうど1年前、私はオルナンダル大公の長男ルイス殿下と出会った
その後から、お父様は私に貴族としての教育をすると仰られ私に多くの教師をつけ教育を始めた
そして今年、私は王立魔法大学校の試験を受け、Sクラスへ所属することになった
このクラス、私には荷が重すぎます
まずオルナンダル大公長男ルイス様
ジャンヴァルディ候長女アルシー様
フォンダー候長女シルベリータ様
この方々は現在国を取り仕切る一族の中で特に力を持っていると言われる一族の子供たち
それに比べて私は……ただの妾の子
彼らも私のことは知っているはず、貴族の世界ってそういうもの
それだけじゃない
昨日母が正式に第六夫人に迎えられ、私はカラフィナ公爵の長女に名実ともになってしまった
平民ではなくカラフィナ公爵という肩書ができてしまった
これじゃ平民の子としても生きれない……
私はどうすればいいの?
そして、頭の整理がつくこともなく登校初日になっていた
(……この部屋ね)
私は気が付けばSクラスの部屋の前に居た
(……ここでじっとしていても何も無いな)
そう考えて私は扉を開いて中へ入ったの
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(な、アルシー、そういうことだ)
(確かにあれは……わかったわ)
(俺も彼女の事は嫌いじゃないんだ……だから)
(人の恋路の手伝いをしろってことね)
(こ、恋路なんかじゃ)
(はあ、カラフィナ公爵に完全に見破られているじゃない、オルナンダル公もこれは分かっているわね)
(え、どういうことだ?)
(なんでもないわよ)
まあルイスがマリエールに惚れているのはその表情を見れば明確なのであった
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アルシーは最初が肝心と言わんばかりにマリエールに話しかけた
「ごきげんよう、マリエールさん、私はアルシーよ!」
「ご、ごきげんよう、アルシー様……」
「あら、貴女の方が格が高いのよ、様付なんてしないでもらえるかしら?」
「え、でも、私は……」
「もう、まどろっこしいわ! そんな事に気を遣わなくていい、って言ってるの。 同じ年なんだしこれから1年一緒に学ぶ友達なんだから!」
「え……友達、私が?」
「あら、何かおかしなことでもいったかしら?」
「だって私は」
アルシーが彼女が生まれを気にしてい事は言うまでもないこと
「あなたがどのような生まれかなんてこれっぽちも興味はございませんわ! 親が一体どうしたの? 私の前に居るのは貴女でしょう? 私が話しているのはマリエールよ」
「……」
啞然とするマリエールを前にシルベリータは懐かしさを感じていた
「アルシー! ちょっと熱くなりすぎだよ! 私の時もそうだったよ!」
「シル……そうだったわね、何も変わらないわね私」
「そういう所もアルシーのいい所だよ! 始めまして! 私はシルベリータ、シルってよんでね! マリエールは長いからえっと……」
「マリでいいのでは?」
「ルイス殿下!」
「ははは、私も彼女たちと同じ考えですよマリ」
「……ぐすっ」
「なに泣かしているのよ! ルイス!」
「え、ええ。俺かよ!」
「ぐすっえっぐ」
「ルイスったら酷いわね」
「俺じゃねえって!」
「でもルイスが喋った後だよ?」
アルシーはともかくシルベリータまでこんなことを言いただしてしまった
「う!」
(私は故意で言ってるのだけど)
(アルシーがわざとだってことは分かっているが)
((シルは本気なんだよなぁ))
(マジでへこむ)
(後でフォローはしておくわよ)
(悪い……)
「どうしたの?」
「「いや、なんでもない(わ)」」
「みなさん、違うんです……嬉しくて、嬉しくて泣いてるんです……」
((うん、そう思った))
「え! そうだったの!」
((やっぱり……))
シルベリータは純粋だった
「私は今まで色んな方からいろいろなことを言われて来ました……でも、ここでなら昔のようにやって行けそうです!」
表情が変わったなとアルシーは思った
人は何がきっかけで変わるかわからない
そう、アルシーがルーミアに出会ったように
「マリ、じゃあ改めて! 自己紹介を」
「はい! 私はカラフィナ公爵家長女のマリエールです! どうぞマリと呼んで下さい!」
「元気になったわね、私はジャンバルディ侯爵家長女アルシーよ、そのままアルシーって呼んでくれたらいいわ」
「ルイス、さっきはごめんね…… あ、私はフォンダー侯爵家長女シルベリータ、シルって呼んでね」
「シル……分かってくれたらいいんだ、俺は……あ、自分は」
「ルイス、もう猫をかぶらなくてよろしくては?」
「お前もな」
「あら、何の事かしら、ふふ」
「ちっ、俺はオルナンダル大公家嫡男ルイスだ、ルイスって呼んでくれ、因みに普段は猫をかぶってるのでよろしく」
「ほら、貴方達も続きなさいよ」
唐突にルームメイトに話を振ったアルシー
「ふぇ! わ、私!?」
「早くしなさい」
「あ、はい、私はアルシーと同室のミーナ・ロマーネです、平民ですのでよろしくお願いします」
「あ、そうだ! マリ、貴女は彼女たちからマリって呼ばれても平気な人?」
シルベリータはちゃんと貴族なのでその辺りのことをは理解している
「え? 何の問題があるのですか?」
しかし、マリエールもつい先日までは正式な貴族ではなかったが故に平民から愛称で呼ばれることへの抵抗感は皆無であった
「「…………」」
アルシーとルイスはなんだかんだ言ってミーナとルーネの心境を理解できていた
「じゃあ私たちと一緒だね! ミーナよかったね!」
「え、ええ」
(また逆に気を使う人なのね……)
「わ、私はシルベリータと同室のルーネ・ヴァルイです、同じく平民です」
「みなさんよろしくお願いします!」
マリの元気な声が響いた
「そこの男子、貴方達も自己紹介しなさいな」
そう、この部屋にはまだ人がいる
「お、おれたちですか!」
「そ、そんな恐れ多い事……」
「そ、そうです」
「胃、胃が」
「……さっさとヤレ」
「「「「はいいいいい!」」」」
アルシーの殺気の籠った視線を浴びた小鹿達には逆らう気力など無かった
「お……自分はカイン・ジャスです」
「自分はケイ・マックスです」
「自分は……フェンリ・ラスです」
「胃が……じ、自分は、ヴァイス・ラン・ゲイツです」
先にも述べたようにミドルネームは貴族の証である
「あら、貴方は貴族?」
「ち、違います。家が医者でして……」
「そういうことね、平民の法衣貴族ね」
この国では医療に携わるものには一代限りではあるが法衣貴族の爵位が授けられている
「は、はい、ですので私は平民です……」
「そんなのはどうでもいいわ、さっきから私たちのやり取りを聞いてたら分かると思うけど敬語は不要! 気軽に接していいわ!」
((((な、なんて無茶な))))
「むしろ、敬語使ったら……ふふふふふ」
((((ひいいいいいいいいいいい))))
だから前アルシーがお話するって言ったとき辞めさせたんだ……そうルイスは思っていたのだった
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因みに、アルシーが若干素を見せているときに発している言葉はシルベリータには聞こえないように細心の注意を払った上で発している
まあ、もしシルベリータ聞いていたとしても彼女にとっては些細なことでしかないので問題はないのだが




