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シルベリータの誕生会(後半)

時を少し遡って


(あれ? アルシーは?)


アルシーがマリナと王女に連れて行かれた後のパーティー会場


シルベリータはなかなかアルシーがやってこないので少し寂しかった


(もしかして、この人たちのせいで、私のアルシーがこれないの?)


「アルシーが一番!」という心の声が聞こえて来そうである。


彼女にはそっちの気があるのか?


真偽のの程はさておき、実際に若干機嫌が悪くなりつつあった


そして、我慢の限界が近づきつつあったとき


「シルー!」


アルシーが帰ってきた



シルベリータの機嫌は瞬間にして回復していた


「あ、アルシー! 遅かったね!」


「ごめん! ちょっといろいろあったの」


「そうなんだ」


そして……


(あれ、アルシー様じゃないか、どうしてこんな所に……)


(そういえば、隣の領地だった筈だ、でもなぜ?)


(おい、息子よ、アルシー様とお近づきになるのだ、行け!)


(シルベリータ殿とアルシー様はご懇意なのか?)


その瞬間、一部の貴族の顔つきが変わった


彼らはアルシー達が来ていたのは知っていたが、どうせ声すらかけないだろうと考えていた


それは、同じ侯爵家といえどジャンヴァルディ候との差が歴然としており、それは周知の事実であった


また、ヴァレンスが成り上がり者だということもこの間違った予想を打ち立てていた原因である


基本的に貴族は保守的な考えが主であり新参者はあまり好かれていなかった、それに、ヴァレンスの爵位はかなりの上位に位置するものでもあり嫉妬の的でもあったのである







そんな貴族達の様子はさておき


ようやく二人で話せると思っていた二人の元に……


「初めまして麗しい姫君方」


少し彼女たちよりも年上か、同じぐらいの年と思われる人物がやってきた


「ん? どちら様でしょうか? 私はアルシーとお話ししたいのですが」


シルベリータの機嫌が瞬間にして悪くなっているのをアルシーは感じていた


(ちょ、シル! それはあからさますぎるって!)


アルシーは焦った、なぜならここは貴族の社交の場なのである


「これは失礼致しました、私はオルナンダル大公家嫡男、ルイス・カロム・オルナンダルと申します、以後お見知りおきを」


それに追い打ちをかけるような告白……


「え! 大公閣下の……」


シルベリータは自分の取った対応が最悪手だったことに今気づき顔を青くしていた


「これはルイス様、初めまして、私、ジャンヴァルディ候長女のアルシーと申します、こちらは私のお友達でこのパーティの主役のフォンダー候長女シルベリータですわ、こちらこそ私たち共々、今後ともよろしくお願いしますわ」


「ほう、あなたがアルシー殿でしたか、噂はかねがね聞いておりますよ」


「どのような噂かは存じ上げていませんが、大したことないですわよ」


「噂というのは”ジャンヴァルディ候の長女は慧眼である”っていうもの、私は同意しますね」


「それは……、買いかぶりですわ、私ではなく、私を教育してくださった方々の功績ですわよ」


「ほう……そうですか」


アルシーはシルベリータの対応から話を逸らしていた


「あ、あの! すみませんでした!」


「シル?」


「先ほどのご無礼、お許ししていただきたく……」


「落ち着いてくださいシルベリータさん、私は気にしておりませんから」


「ですが……」


シルベリータは良くも悪くも正直だった


「シル? 先方が気にしていないと仰っておられるのだからそれ以上は良くないわよ」


「あ……」


「今日は顔合わせですね、またお話しいたしましょう姫君方」


「あら、そういうのは好きよ、そういう方とは今後ともいい関係を築きたいものね」


「こちらこそ、あなた方のような姫君とは今後とも付き合っていきたいものです、ではお二方( ・ ・ ・ )ともまた会いましょう」


そういってルイスは去っていった


「アルシー……」


「気にしなくても大丈夫だよ、ああいう人は根に持ったりしないと思うもん」


(それに最後の言葉が決め手だしな)


「うん……」


「さあ、ご飯食べに行きましょ!」


「うん!」


(フォローになっていればいいけどな……はぁ、また五歳児らしからぬ行動を起こしてしまったな)


アルシーは今日の出来事を思い出しあることを考えていた


(父上と母上に知らせる……べきだな、この流れに乗らないと本当に期を逸してしまう気がする)


アルシーは自分の事を両親・・に伝える決断をしていた





そうこうしているうちにぼちぼちと帰る貴族が増えていき


最後にアルシー達だけが残っていた


「しかし、ヴァレンス、大公閣下を呼んでいたとは……」


「何言ってるんだいドルイ? さんざん世話になったのに」


「あれとこれとは事情が違うだろ」


「だけど閣下は来て下さったじゃないか」


「……確かにな」


「さてと、シルベリータの奴隷を買いに行くとするよ」


「ああ、そうだったな、では俺たちも帰るよ」


「明日、伺ってもいいかい?」


「ああ、もちろんだ」


「じゃあ、また明日」


「おう」




そしてこれは子供たち


「今からプレゼント買いに行くの!」


「そうなんだ!」


「だから今日はこれぐらい……」


「シル、今度は遊びにきてよ! 歓迎するよ!」


「ほんと! やったー!」


「じゃあ、またね!」


「うん!」



こうしてシルベリータの誕生会は無事終わったのだった



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