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シルベリータの誕生会(前半)

そして時は少し進み、今日はシルベリータの誕生会の日である


今日までの間アルシーは旅行という名目で領内を散策していた


家族3人と使用人数名と奴隷数名である


言わずともルナンはついてきているし、ルーミアも当然いる


この旅行はアルシーがドルイに”自分の領内ってどんなところなの?”と質問し、ドルイが”なら、一周しようか?”という流れ


ドルイもアーシャも家族で旅行をしたいと考えていたので丁度よかったのだった


アルシーは自分の領地でできることを知りたかった


理由はまあ、よくある”内政チートできねえかな”っという感情からなのだが……


それは置いておいて、家族水入らずの旅行だったので家族の絆も深まった


そして、今アルシー達(アルシー、ドルイ、ルナン、ルーミア、ドルイの専属メイドのアン)は先月遊びに行ったマーレ城に再び足を踏み入れた


「アルシー!」


「あ、シル……じゃなかった、シルベリータさん本日はまことにおめでとうございます。心よりお祝い申しあげます。」


「あ、そうだったね……これはありがとうございます。どうぞお入りになってくださいね!」


(貴族のルールめんどくせーーー!)


どんなに気心が知れた相手でも、晴れの舞台の最初の挨拶は互いに敬語を用いて仰々しくしなければならいという暗黙のルールがあった


だから、彼女は挨拶を言い直したのだ


(ほう、アルシーはこのルールを覚えていたか)


ドルイはアルシーの誕生日会当日にこのルールについて話しただけだったので少し驚いていた


「アルシーは誕生日のお祝いに何を買ってもらったの?」


「えーと……父上、この国の5歳のお祝いってみんな同じなのですか?」


「そうだよ」


「じゃあ、言えないな」


「えー、いいでしょ」


「シルベリータ、アルシー様を困らせるものではないよ」


「お父様! わかりました」


「ヴァレンス、今日は誰を呼んだのだ?」


「主に男爵家とドルイよりの侯爵家だな」


「いい判断だ」


「一応、招待した家の使者は全員きたのだけど、実際子供同伴で来ているのは20いればいいと思っているよ」


「妥当だな」


「アルシー様の時は何家来ていたんだ?」


「少し気になるんだが、なぜ娘を様付で呼ぶのだ?」


「いや、何だか呼び捨てできないんだ、アルシー様の場合ちゃんというのも違うような気がするし、さん付も何か違うなと思ってな」


「まあ、好きに呼べばいいが」


「ああ、そうするよ」


「アルシーの誕生会に来た貴族だったか? 呼んでいない者も合わせてそうだな40から50だったな、会場には呼んでいない貴族は入れなかったからな、会場にいたのは32家だ」


(父上、よく覚えてるな……)


「やはり多いな」


「ヴァレンス、いるかしら?」


「ああ、マリナかどうした?」


「朝、手紙が届いたのだけど、女王が来るって」


「「「え?」」」


ちなみに、ドルイ、ヴァレンス、アルシーの声である


「くすくす、いい反応ね、なんでも、出産祝いに行けなかったから、五歳の晴れの場ぐらい祝わせろだって、あの子も変わらないわね」


「そういえばマリナどのは前親衛隊の隊長だったな、忘れておったわ」


「父上? それはどういうことですか?」


「ああ、マリナどのは先代の女王の親衛隊、俗にいう近衛兵の頂点にいたお人だよ、それに女王様との仲は非常にいいと聞いているからね」


「そうなのですか」


(要するにめっちゃすごい人がシルのお母さんだってことだな)

(注)アルシーの母親も実はすごい人です


「…………アルシーちゃん、後で少しお話しない?」


「え? 私ですか?」


「そうよ」


「えっと……」


「行っておいで」


「父上……わかりました」


「じゃあ、また後で声かけるわね」


「はい!」


アルシーはこの後シルに近づきたくても近づけないだろうな、と思っていた


なぜなら……


「初めまして! シルベリータ様、私、ジョナ男爵長男の……」


とか


「ご機嫌麗しく! シルベリータ様、私、カイヌ侯爵2女の……」


とかその他大勢の対応に追われているのを見て


(うわあ、ひと月前を思い出すわ、ほんと)


自分の誕生日の事を思い出したからである


アルシーにとっては彼らの印象は良くないから、嫌な思い出であったことは確実である


アルシーにとっては暇な時間であることに間違いはなく


(これだとマリナさんと今、話して置いた方がいいんじゃないか?)


そう彼が思っていた


すると


「アルシーちゃん、今いい?」


「え、あ、はい!」


「じゃあ、ついてきてくれるかしら」


「分かりました!」


マリナから声がかかったのだった



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