間抜けなコンラード
「リリスちゃん、もうちょっと一緒にいようよぉ」
結局三時間もつき合わされ、コンラードの強さにリリスも呆れ顔。
「あんたね、いったい、いつまでやらせるつもり!?」
「皇帝にそんな態度でいいと思ってるのか!」
急に偉ぶるので、リリスはいい加減帰りたくなった。
「あんたみたいなわがまま、嫌いよ・・・・・・」
といいたいものの、ヘルマンがソラを助けたか、が気になるところ。
リリスは、おとなしく皇帝に従った。
契約した以上、リリスはヘルマンを守らなくてはならない。
もし術者を殺せば、自分は灰になって消えてしまう。
そんなのはごめんだった。
それに、いけないことと知っていても、リリスはヘルマンが好きだったのだ。
好きともなれば、なおのこと、ヘルマンのために犠牲になるしかない。
リリスは・・・・・・つらかった。
人間は人間同士、愛し合うほうがいい。
だから彼女はソラを勧めた。
自分の存在価値は無視し、人間ではないのだからと自嘲して。
「あたしは悪魔よ、サキュバスよ!」
やけくそになり、コンラードに抱きついた。
でも・・・・・・。
「わがままをたたきなおせば、コンラードでもいいかなぁ」
とにやけるリリスの気持ちが・・・・・・わからない。
「リリス、助けに来たぞ!」
ヘルマンが武装して、コンの部屋に殴りこみ!
しかしリリスの一糸まとわぬ姿に、ヘルマンは恥らった。
「な、なんて格好を。服を着ろよ、は、はやく」
コンラードは前を隠すのも忘れ、ものどもであえ、曲者じゃ、とやっている。
「きゃーっ! 皇帝のバカーッ!」
ソラが視線をそらす。
愛するソラにみられちゃったコンラード、あわてて服を身につけた。
しかし、服が引っかかって足がもつれ、床に倒れ・・・・・・。
ヘルマンは見てられないと、コンラードに手を貸した。
「俺、あんたと戦う気なくしたから、もうどうでもいいや。その代わりソラもらっていくよ」
「なんだと! それだけはゆるさ・・・・・・」
再びソラの黄色い声が轟く。
ベルトが緩められたせいか、コンの履いていた着物が、ずるずるとずり落ち、また丸見えに。
「わ、わかった、もういい、ソラをくれてやる」
「もうひとつお願いがあるんだけどなぁ」
リリスに懇願され、コンは鼻の下を伸ばした。
「皇帝の座を引いて、あたしと一緒に暮らさない? ねえ、いい条件でしょ。ヘルマンに譲ってあげてぇ」
「そ、それもいいかも〜」
ヘルマンはコンラードのいいかげんさに、心底あきれ果てていた。
「考えてみりゃあ、リリスのほうがいい女だよなぁ、うへへへ」
ヘルマンがここで突っ込み。
「な、なんて軽いんだ・・・・・・」
「皇帝の意思なんて、こんなものかもしれません」
振り返るとゲオルギウスがやってきて、にやりとほくそえんでいた。
いいんかいっ。
これでいいんかいっ。
作者はこういう展開のほうが、好きだけどね・・・・・・。




