表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/8

あたしはリリス

 一口に契約、といっても・・・・・・。


 ヘルマンの場合、まったく予想していなかった。

 まさか悪魔が、美女だったなんて!

「何見てるの。早くお風呂入れてよ。もう、汗かいてべたべたするんだからぁ」

 ヘルマンは、すべすべした彼女の太ももを見ないフリしつつ、それでもついつい・・・・・・を繰り返していた。

「あっはん。そう、そんな気になる? かわいがってあげようか、ぼーや」

 ヘルマンは興奮して叫びそうになる、やった! これこそわが夢、わが青春! 俺の人生、こうでなくちゃあ!

「そんな。お、俺はただ」

「いいのよぉ、照れないで。ヘルマンさま、かわいいから特別に、見せちゃおうかなー、ふ・と・も・も」

 彼女はスカートをまくって見せる。

 だがすぐ元に戻す。

 悪魔ちゃん、リリスは見抜いていた。

 ヘルマンは否定したが、おさえ切れない欲情が体内で煮えたぎっていることを。

「ひい〜、蛇の生殺しって、きっとこういうことを言うんだろうなあ・・・・・・」

 ヘルマンは立っているのがつらくなってしまい、その場にうずくまってしまった。

「なに落ち込んでるの。さっさとお風呂沸かしてよ」

 ・・・・・・どっちが主人か、わかりゃしなかった。  

 

 ヘルマンは騎兵隊長の子供で、隊長のひとり息子であった。

 しかし隊長は何を思ったのか、ヘルマンをひとり引き離すと、ケルンの大学へ押しやり、自分はハプスブルクの神聖ローマに仕えてしまったのだった。

 そのとき、ケルン大学でヘルマンが学んだことといえば、レメゲトンだの、ゲーティアだのといった古文書で、ほとんどがヘブライ語かラテン語で書かれたものだった。

 しかし生真面目な傍らで、ヘルマンはどこかが抜けていたため、いつも賭けに負けて痛い目にあってしまっていた。

「どうした。賢者の石でも創ってみろ、ぐずでのろまな、ヘルマンくん」

 父親が騎兵隊長であることは、かえってヘルマンの重荷でもあった。

 だから連日のようにいじめられ、

「お前の親父は立派なのに」

 と捨て台詞される。

 この時代、学ぶのは男ばかりで、しかも貴族や富豪の商人の子が多く、彼らはここで何を学ぶかといえば、金を稼ぐすべ、生活をするすべ、貴族に媚を売るすべなどを学び、出世するための知恵を得た。

 ヘルマンは数年したら、ラファエロ・サンツィオのような大画家のパトロンとなり、同級生に泡を吹かせることになるのだが、それはまた次に。

 

「そういえばボローニャ大学では、生徒がボイコットしたらしいよ」

 そこまで大学生活は荒れていた。

 しかし教師たちは生徒を失えば生活ができないため、あわてて呼び戻した。

 こうしてますます、乱れていく学業世界。

 ケルンも似たようなものだったが、ヘルマンには差障りなどなかった。

 たったひとりになってもヘルマンには、大学を卒業する自信があったからだ。

 いや、かえってひとりになるほうが助かる、とさえ思う。

 ヘルマンはふさぎこんでばかりの青年だったから、友達はいなかった。

 彼はとりわけ、クセノフォンを愛し、騎兵隊長の話を何度も読んで、遠い父を思うのであった。

   


「俺にはクセノフォンがあるからね。べつに寂しくなんてない」

 というヘルマンに、あるとき、やってきてしまったのだ、そのときが!

 悪魔召喚術!

 ヘルマンは知識を蓄え、興味を持ち、実践がしたくて、うずうずしてしまった。

「召喚か。おもしろいね。ぜひ俺にやらせてくれよ」

 クセノフォンが一番だったヘルマンは、ついに第一がゲーティアになってしまった日であった。  



 あらわれたのは、妖艶な美人。

「うおー、すげえ! 神様、ありがとう」

 ヘルマンは彼女に対して第一印象から好意を抱き、胸をばくばくさせながら、名前は? 住所は? 電話番号は?(ぉぃ)とひっきりなしで尋ねた。

「あたし、リリスって言うの」

 といって、ヘルマンにウインクする。

「リリスって、たしか、アダムの最初の妻だよね。エヴァ以前の」

「あら、よくできましたぁ。そうよそうよ。そのリリス。ヨロチクね、坊や」

「坊や!? 馬鹿にするなぁ! 俺は坊やって歳じゃないぞ! それに名前があるんだから、ヘルマンって呼べよ」

 リリスはヘルマンの怒る理由がまったくわからず、

「あそ、じゃあ、ヘルマン様。よろしくね。契約の証は、あたしとのキスよ」

「ええっ」

 ヘルマンは腰を抜かして床にへたり込んでしまう。

「そんな、俺、彼女いないし・・・・・・そんなことしたことないし」

 リリスはおもしろそうに笑いながら、

「あはは、ヘルマン様、純情ねぇ。いまどき珍しいくらい。十字軍騎士なんか、女を犯して回ってるのに」

「えげつないこと、いうなぁ! 女の子でしょっ」

「あらー、関係ないわよ。どうして女とか気にするの。ねえ。それよりさ、契約して」

 ヘルマンは、しょうがないなあ、と、慣れない手つきでリリスの唇に触れる。

 しかし、ヘルマンは興奮し、血が頭に上ってしまい、鼻血を大量に出して気絶してしまった。

「あーらま。こんなんで主人として、使えるのかしらね?」

 何なら契約を解除してもらおうかなんてことも、リリスは考えるが・・・・・・。

「でもヘルマンをからかうの面白そうね。もうちょっと一緒にいようっと」

 ・・・・・・おやおや。 

 ヘルマン、今回はどの程度壊れるんだろう!?

 前回の終わり方じゃいやだから、革命起こされました、共和制に(汗。

 ノリぜんぜん違うよね、前回と!

 私の息子へルマン、いったいどうなることか。

 というか、アダルトサイト読んでて思いついたネタだけに、ちょっとえろい(汗。

 嫌いな人は申し訳ない・・・・・・。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ