◆ホームドアの女◇
【読者の皆様へ】
まずは、本作をクリックして頂き感謝します。
※本作は因果応報・ホラーです。
※主人公の倫理観が欠如しており、不快な言動を繰り返しますが、物語の演出です。苦手な方はご注意ください。
※全8話、完結済みです。二話ずつ、毎日22時に更新予約を設定しています。
悪いことをすれば、必ず誰かが見ている——。
冬のホラーは心に沁みる。
寝る前や、夜の静かな時間を楽しむお供になれれば幸いです。
帰宅ラッシュの時間帯、駅でスーツ姿の女がホームドアを乗り越えて線路側に立ち、何かを拾っていた。
「ここにゴミが落ちてるのにみんな無視?そんなことある?」
女は線路を背にして身体をホームの内側に向け、手に持ったビニール袋をドアに垂らし、ゴミを入れながら行き交う人々をきょろきょろと見ていた。
通り過ぎる人が声をかけていた。
「お姉さん、そこに入るとセンサーに引っかかって電車止まっちゃうよ」
女はお構いなしに、しきりに地面から何かを取ろうとしていた。
「ガム取ってんの!」
女の声が虚しく響いた。
その騒ぎを横目に、会社帰りの谷道徳郎が不機嫌そうにぶつぶつと文句を言いながら歩いていると、その女と目が合った。
(……こっちが媚びないと違法か?おべっかを使う奴らばかり可愛がりやがって……なんだあの女)
女の目は日々のストレスの一つである会社の女子社員の鋭い視線と重なった。脳裏にその日の会社での不快なやり取りが次々と浮かんだ。
『……谷道さんっていつもいやらしい目で見てくるでしょ、気持ち悪くて……』
偶然聞いてしまった勝手な解釈の愚痴。一度や二度ではない。腹が立って仕方がなかった。
女に見られているだけで怒りが膨れ上がった。
谷道は視線を合わせたまま近づき、その女に言った。
「おいあんた、みんなに迷惑だろ」
女はホーム内に向かって谷道を睨みつけていた。手にはビニール袋を持っている。長い髪から覗く視線は冷たい凄みがあった。
電車を待つ列に並んだ谷道を女は執念深く睨み続けていた。
駆けつけた駅員が小走りで列の後ろを通り過ぎて行く。
駅員が谷道の横を通り過ぎて行くとき、つぶやいた不満の声が聞こえた。
「たく、一日に何回呼ぶんだよ……」
ここまで読んでいただきありがとうございます。
一話、二話同時公開です。
続きは明日22時に更新します。
(全8話、完結まで予約投稿済みです)
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