【Scene4:協会の宣告】 ――協会本部・評議の間
白と黒の大理石が交差する巨大な円卓。
その上空には、七つの幻影が浮かび上がっていた。
七大使徒――死神協会の最高戦力。
そして、その中央に座する“影”が、静かに口を開く。
「〈傲慢〉は任務に失敗。標的は未だ健在。」
「――ゆえに、〈破戒死神〉クラリッサ・グレイヴを討滅対象とする。」
言葉が落ちた瞬間、空気が凍りついた。
灰のような沈黙が、会議室を覆う。
壁面に刻まれた古き紋章――“紅薔薇の上に降る灰”――が微かに光を放ち、
それはまるで、死神たち自身の誓約が再び呼び覚まされたかのようだった。
「七大使徒、再び集結せよ。」
「〈暴食〉、〈色欲〉、〈憤怒〉――その魂をもって均衡を正せ。」
評議の幻影たちが一斉に頭を垂れる。
その声が静かに重なり、世界に“戦争”という言葉を刻みつけた。
同じ頃――
クラリッサは自邸の塔の上、灰色の空を見上げていた。
風に揺れるカーテンの向こうで、紅茶の香りが満ちている。
ルシアンが駆け込む。
「お嬢様! 協会から宣告が……!」
「ええ、聞こえているわ。」
クラリッサはカップを口元に運び、
まるで他人事のように紅茶をひと啜り。
「戦争? 紅茶の時間の後にしてもらえるかしら。」
ルシアンは天を仰ぐ。
「スケジュール帳に載せないでください!? そんな予定、死んでも管理できません!」
リリアが慌ててメモを取る。
「“紅茶→世界戦争→片付け”……順番おかしくないですか!?」
クラリッサは小さく笑って、窓の外の灰色を見つめた。
「順番なんて関係ないわ。死も紅茶も、温度が命よ。」
風が吹き抜け、塔の上の薔薇がひとつ、花弁を散らした。
灰と紅が空中で混ざり合い――
夜明け前の空を、かすかな光が照らす。
“弟子との決別が、世界との戦いの始まりとなった。
そして〈破戒死神〉クラリッサ・グレイヴの名は、
ついに“神々の秩序”へと宣戦を布告する象徴となる。”




