【Scene2】――晩餐会、容疑者にされる
宮廷の晩餐会は、煌びやかなシャンデリアの光に包まれていた。
貴族たちは香り高い料理を楽しみ、優雅な会話が響き渡る――はずだった。
そのとき、王太子が突然、胸を押さえて倒れ込む。
会場が一瞬で騒然となり、ワイングラスや銀食器の音が交錯する。
ざわめきの中で、視線が一斉にクラリッサに向けられた。
> “あ、私が容疑者……?”
リリアは思わず後ろにのけぞる。
クラリッサは微笑を浮かべ、まるで舞踏会の一場面のように落ち着いて王太子の傍に膝をつく。
手を添え、首の角度を調整しながら淡々と言う。
「口呼吸しなさい、死ぬと面倒だから」
王太子は半死状態で、ただうなずくしかなかった。
その横でリリアは小声で震える。
さらにクラリッサは、王太子の袖口やテーブルに落ちた液体を、ティーカップの水でさっと流す。
その所作は優雅で、まるで紅茶を味わうかのようだった。
だが、事実上“毒痕の証拠を洗い流す”行為であり、現場は完全にクラリッサの掌中にあった。
> “ティーカップで毒を洗い流すって……何この非現実的優雅さ……”
リリアは顔を青ざめさせ、必死で事態を見守るしかなかった。
クラリッサお嬢様の冷静な笑顔の裏に潜む恐ろしさは、まるで舞踏会の中で静かに刃を振るう暗殺者そのものだった。




