チュートリアル
「フンッ!」
魔物がこっちに気づいていないのをいいことにまずは魔法が使えるかを試してみた。スキルのキノコのように炎をイメージして魔物に向けて手を伸ばし放出してみた。…しかし、何も起こらなかった。
「おやぁ?」
やはりそうそう上手くはいかないか。幸い魔物はまだこちらに気づいていない。今のところこっちが魔物に向かって手を伸ばし力んだだけである。
「それならば物理的に攻撃するまでよ。」
装備はないが、このままでどれほど戦えるのか、試してみよう-そう思い呼吸を整え、魔物に向かい突撃した。
「ヴォッ!?」
猪のようなモンスターは音に気がつきこっちに反応したが、避けさせる間もなく渾身の一撃をその顔面に打ち込んだ。
ポクッ!
「ポクッ?」
ゴムでも殴ったかのような感触が拳に伝わった。手は痛くない。が、猪もどきも痛そうではない。全力の打撃はその毛皮と皮膚にダメージが吸収されたかのように鈍く跳ね返されたみたいだ。
「グルルルルッ!」
(ザッ!ザッ!)
猪モンスターはこちらに体勢を向け、臨戦状態となっている。どうやら先ほどの自分の攻撃はただ怒りを買っただけのようだ。ダメージはない。打つ手もない。どうしよう。
「モ゛ウ゛ッ!」
モンスターは力むように唸り声を上げると、こちらへ向かって突進してきた!
「ヒイイイイッ!!!」
思わず叫んで逃げ出した。カッコ悪いとか言ってられない。死ぬかもしれないのだ。
ズンッ!!
猪モンスターの突進をすんでのところでかわした。モンスターは木に衝突する形となった。
ブルルルルルッ!
気絶でもらしてくれればよかったが、首をブンブンふるとまたこちらへと体勢を立て直した。
(ヤバい!ヤバい!ヤバい!)
明らかにこっちが弱い。なんとか切り抜けないと、何かないか、何かないかと必死だった。
「これしかない!」
咄嗟に再び突進してきた猪モンスターに向かって手を伸ばした。
「フンッ!」
するとモンスターの顔からキノコがニョキニョキ生えてきた。
「グォッ!?」
モンスターは突然顔を覆われて視界を奪われたのか、ブンブン首を振ってキノコを取ろうとした。数本抜けたが方向感覚を失ったのかまたしても木に衝突した。
ズンッ!!
またしても鈍い音がしたが、今回もまた気絶することはなかった。
「ヌンッ!」
そして今度はモンスターの前方に向かってスキルを放出した。すると、モンスターの前の地面にキノコが生え始めた。
「ブモッ」
モンスターはキノコの匂いをクンクン嗅ぎ、そのままキノコを食べ始めた。突然のキノコと衝突で自分への意識が薄くなったのだろう。俺はモンスターがキノコに気を取られてる隙にその場を離れた。




