表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
煌めく、想い  作者: りん
11/63

【第一章:Lesson】⑪

    ◇  ◇  ◇

 ──大翔、ホントにありがとう。


 心優しく頼りになる、同じ年なのに兄のような友人に、怜那は何度目かの感謝を捧げる。

 沖と二人きりでなくなったのは、少し、ほんの僅かに惜しい気持ちはある。けれど、大翔が教えてもらっている間、「先生」の顔を遠慮なく見ていられるのだから、それはかえって幸運かもしれない。

 沖にとっては補習など、ただ手間が増えただけの筈だ。

 それくらいは怜那にもわかっている。それでも。

 沖と他の誰よりも近い距離でいられるのは間違いなく怜那なのだから。大翔は、とりあえず置いておくとして。


 ──だから私はほんの少し、その時だけは先生の特別になれた気がして、凄く嬉しかった。


 怜那はこの気持ちを沖に気づかれないように、どんなに嬉しくてもあまり表に出さないようにしないと、と気合を入れ直した。

 もし知られたとしても、沖は怜那を邪険に扱ったりはしない筈だ。

 たとえ内心は違っていたとしても、今まで通りにごく普通に接してくれるだろう。

 そう、沖は。

 しかし、万が一それ以外の他人に知られた場合、誰よりも沖に迷惑が掛かってしまう危険がある。

 怜那本人ではなく、想いを寄せられただけの沖の責任が問われることになるかもしれない。

 ……自分たちはそういう関係で、年齢なのだ。


 怜那は、ただでさえ忙しい沖に余計な気遣いをさせるようなことはしたくなかった。

 何よりも、沖はみんなの『先生』で、怜那のためだけの存在ではないのだから。

 怜那にとっての沖は唯一無二だが、沖から見た怜那は所詮クラスの四十人の中の一人でしかない。

 それだけは忘れないように。

 そして、だからこそ。

 補習のときに目に焼き付けた沖は、怜那だけのものだ。

 心の中の、沖を想う気持ちの横にそっと置いておく。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ