条例都市
日本のとある街。
法律だけでなく、その街独自の条例を制定し実行する街。
住人は何かに怯えて暮らすわけでもなく、他の街と変わらぬ生活をしているため、外からくる者には一見普通の街としか見えない。
人口18万の海と山に挟まれた小さな街。
戦後工業で栄えたこの街だったが賑わった大通りも、たくさんの人々が行き交う駅前も、いまはすっかりと静かになってしまった。
観光地と呼べるような施設もなく、何か特産物があるわけでもなく、他の街と変わらない。ただ、小さな一つの街。
そう、普通の街。
他の街と違う点があるとすれば、空にはドローンの飛ぶ姿をよく見かけ、街には監視カメラの設置が増えたくらいか。
その街に住まう人々は、住みやすい街だと言う。
しかし、その街の条例を知らぬ者達にとっては、おかしな街と感じるかもしれない。
これはそんな小さな街で起きた話を記した物語。