百鬼 金剛長者
子供の頃
夢は何かと質問されるが
周りの子は
宇宙飛行士だとか消防士とか警察官だとか
そんな中我輩は声高々にこう言った
「金持ちになる」
その時の周りの反応と言ったら
夢がないとか
つまらないだとか
変な子とか
大人になってあの時の周囲の意見を少し理解した
しかしだ
我輩の夢に誰が口をだしている
そう強く思った
それは馬鹿にしての言葉であり
見下した見方であった
金持ちになると言うのも立派な夢だろう
35歳になった我輩は
現在
山に篭っている
鶴嘴を片手に
金山を当てるために
我輩は夢を追い続けていた
「金持ちになる」
という漠然とした夢が
「金山を掘り当てて金持ちになる」
という明確な物になった
しかし掘り当てたのは金でもなく
金剛でもない
金に光る大きな亀だった
金剛ならぬ金鰲だった