月曜日
「前から思ってだんだけど、なんでここのコンビニ、デザートのチョイスが微妙にズレてるの?」
夜中の3時過ぎ。
今日もいつもの様に彼女はコンビニにやって来た。
今日は、なんか・・・全体的に赤い?
あ、レースは黒い。
メイクもいつもより濃いかもしれない。
「どの店も同じラインナップだと思いますよ?ただ、お店の大きさによって入荷する量は変わるみたいです」
「そうなんだ?ここ小さい割に置いてある物が無難じゃないっていうか・・・良く言えば攻めてる?」
そうなのかな?
確かに言われてみればそうなのかもしれない。
この前も店長の電話の会話が少し耳に入って来たけど「コレは新しい!」とか「今度はいけそうだ!」とか言ってたような?
「おい。結衣ちゃんまた諸星君に絡んでるのか?」
「華ちゃんやっほー!人聞き悪いなぁ?ちょっと世間話してるだけじゃん。ね?諸星?」
あ、僕ですか?はい、そうですね?
あの、どうでもいいですけどお金払って下さいね?
「スプーン付けなくていいですよね?」
「うん!あれぇ?誠也君?」
そういえば川神さん今日はまだ来てなかったですね?
誰かと、外で話してる?二人でお店に入って来ます。
「え?」
「ん?」
なんだろうこの間。
川神さんが連れ来た女の子固まっちゃってますが?
・・・あ、そうか。
「あの。仮装パーティーじゃないです。コンビニのお客さんです」
「いや。諸星君それフォローになってねぇよ」
「何なに〜?その子誰?誠也君の妹?」
川神さんの?それにしては、全く似てないような?
「違うわよ!なんか、誰かに後を付けられてたみたい。ここに来る途中様子がおかしいから声をかけたのよ」
「え?それ大丈夫だったの?泣き出したりしなかった?」
「怖かったねぇ。誰かに後をつけ回されて、こんな怖いお姉さんに声かけられて・・・トラウマにならなきゃいいね?」
「ちょっと待て。アンタら何が言いたいのかしら?場合によっては拳が飛ぶけど?」
「「暴力反対!」」
お店の中で暴れるのやめて。
また警察に行くとかご遠慮したい。
お母さんに余計な心配かけちゃうし。
「あ、あの。大丈夫です・・・声で女性だってすぐ分りましたし。困っていた私をここまで連れて来てくれたんです。あのまま帰るのは、危ないからって・・・」
「そうだったんだ?まぁこんな遅い時間に女の子一人で出歩いたりしたらダメだよぉ〜?変態に目を付けられちゃう」
そう、なんだけど。
長谷川さん、正論だけど何故か納得出来ない自分がここに。
多分他の人達もそうだと思う。長谷川さんに向ける皆の視線が物語ってると思う。
「ゴホン。で?そいつまだついて来てるの?」
「恐らく、私が声をかけた時慌てて逃げた気配がしたから大丈夫だと思うんだけど、念の為にね。家までつけられたら大変でしょ?一人暮らしだって言うし」
「あ、あの!ありがとうございました。もう大丈夫そうなので帰ります。あ、買い物もしていきます」
それにしても、この前も思ったけど川神さんてあんなに怖そうで素っ気なく見えるのに・・・。
「ん?何よ、諸星」
「人情に厚い人なんですね。川神さん」
「ああ?拳くらいたいの?」
なんで怒るんだろう。
やっぱり勘違いだったかもしれない。怖い。