日記、書き始めました。
あの夜。
僕達がコンビニ強盗に襲われて警察のお世話になった日。
家に帰ると母親の姿はなかった。
確か、店長が連絡してくれたと言っていたから帰りが遅くなる事は知っている筈だ。
僕はコンロに置いてある鍋の蓋を開けて中身を確認した後鍋に火をかけた。
朝ご飯の用意はちゃんとしてある。
僕はリュクをおろして中からさっきもらったノートを取り出した。
「・・・日記帳?」
そういえば今日は何日だったか。
「11月23日」
僕は日付を書き込んでから今日起きた事をノートに書いた。そして、それをもう一度リュックの中にしまった。
それと同時に家のドアの鍵が開く音がした。
「あ、帰っていたのね?なつ・・・」
「うん。遅くなってごめんお母さん」
もしかして、心配でコンビニまで行っていたのかな?
何処かですれ違ったのかも知れない。
なんだか、悪い事しちゃったな。
「・・・・な、ナツ?今・・・なんて?」
「?遅くなってごめん、お母さん」
「ナツ!!」
どうしたんだろう?
やっぱり警察に連れて行かれたから心配かけちゃったんだな。こんな風に抱き付いてくるなんて、お母さんらしくない。
「ご飯食べよう。お母さん」
「ええ!ええ・・・今日はお母さん休みだから寝る前にナツの話を聞かせて欲しいわ」
「うん、あのさ・・・」
本当に変なの。
お母さんが僕に話を聞かせて欲しいだなんて。
今日は、本当に色んな事が起こる日だな。
ピッ
「ねぇコレもう食べた?」
ピッ
「いえ。なので食べたら感想を教えて下さい長谷川さん」
ピッ
「え?ユイユイって呼んでいいよ?」
「あの、今日は数が多くないですか?食べ切れます?」
昨日寝た時間が遅かったからだろうか?
なんだか今日もおかしな日だった。
まず、夜起きて保護者のマリさんに声をかけたら、なんだかいつもと様子が違った。
酷く取り乱していたから、落ち着かせるのに大変だった。
「華麗に無視するの、やめて欲しい。コレは一人で食べる訳じゃないからいーの!」
あと、出勤したら店長やアルバイトの先輩も何か言いたげに僕を見つめていた、もしかして僕、初日からあんな事あったから厄介な奴とか思われたのかも知れない。
「何レジで絡んでるのよ。諸星、この子まともに相手しなくていいわよ」
「え!何それ誠也君酷い」
「ちょっとアンタ何その呼び方。やめろ」
なんだかな?
物凄く・・・騒がしい。
僕は少し離れた所に立っていた華井さんをチラリと見た。
あ、こっちを見てたのに目を逸らされた。
これは、僕が何とかしないといけないのかな?
「あ、あの。他のお客様の迷惑になるので・・・」
「「はぁ?客なんて何処にいるの!?」」
え?うーん・・・あれ?貴方達もお客様ですよね?