表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
17/18

ミルクティーと缶コーヒー

"華井は、将来何になりたいんだ?"


あー将来ねぇ?雑誌の編集者とかどうだ?


"・・・え〜?何言ってるの?華井君は小説家になるんでしょ?沢山賞だってとってるし、色んな出版社からも声がかかってるんでしょ?"


それはそうだけど、アレは趣味みたいなもんで実際それで食べて行くのは、難しいと思うぞ?現実問題な。


"なんだよ。またそれかよ"


何怒ってんの?もしかして、俺なら出来るとか思ってくれてるの?


"絶対才能あると思うよ華井君!!"


お前も、そう思う?


"・・・あんじゃねぇの?・・・才能・・・"


そうか。お前は俺が小説家になったら嬉しいか?

少しは俺の事認めてくれる?お前の事見返す事が出来るか?

なぁ、どうなんだよ・・・()()





「触るな。気持ち悪い」








ピッ


「いらっしゃいませ」


「やだ〜!ヒロ君のエッチぃ」


「そんな事言って本当は嬉しいんだろ?」


こんな夜中にお客さんとは珍しいな?

いや、コンビニだから別におかしくはないけどな?


しっかし最近の若者にしては珍しい。

最近の若者はガツガツしていないと聞いていたんだけどな?


いくら夜中のコンビニとはいえ、人の目は気にした方がいいぞ?結構目立っている。


「うお!おい見ろよあの女。スゲェ格好してるぜ?コスプレってやつ?きもっ!」


「ちょっとヒロ君声が大きい!聞こえちゃうって」


止めに入ってる君の声も十分に大きいからね?

う〜ん。どう思う?店員さん?


「あの、お支払いをお願いします」


「ああ、そうだった。あの二人よく来るのか?」


俺は初めて見るけどな?他の常連もそう思ってるぞ。


「そう言われてみれば。この時間は初めてですけど」


なんだよ。

他の時間帯の常連客か。・・・・あれ?


「諸星君。あの二人の事、覚えてるのか?」


「はい。よく来るので」


・・・そうか。諸星君が覚えてる、ねぇ?


「気になるんですか?あの二人の事」


「ん?いやぁ?俺は別に・・・」


そうだな。普段だったら気にも留めず、ただのバカップルだと流しただろう。


「マミはミルクティーでいいだろ?俺コーヒー」


「え?ヒロ君買ってくれるの?」


「おお。これくらい買ってやるよ」


・・・気のせいだろうか。なんだか妙に店内が静かに感じられるんだけどな?いつも騒がしい結衣ちゃんは大人しいね?もしかしてご機嫌斜めですか?


「292円です」


「ほら。持てよマミ」


「ありがとー!ヒロ君!」


やれやれ。

やっと帰ったな。


結衣ちゃんとは、また一味違う騒がしさだった。


「若いわねぇ。こんな夜中にあのテンションはないわ。見てて疲れる」


「川神さんも十分若いでしょ?俺みたいなおじさんが言うならともかく」


「え?華井さんおじさんなんですか?」


「君ね?・・・まぁ君達よりは年上なのは確かだろうね」


「長谷川さん大丈夫ですか?凄い顔してますけど?」


おっと結衣ちゃん?

何故眉間に皺を寄せているのかな?

コスプレお化けだと言われて堪に触ったのかな?

今更じゃないかな?


「・・・気持ち悪い・・・トイレ・・・」


「あ。どうぞ奥です」


具合が悪かっただけか。

不健康そうだもんなぁ結衣ちゃん。


俺も人の事は言えないが。


「何よあの子具合悪いの?」


「多分。来た時から顔色が悪かったので」


「・・・しょうがないわねぇ」


川神が後を追って行ったけど、いいのかね?

放っておいた方がいい気がするんだけどな。


深入りするのは良くないと思うぞ。


「・・・初めて見ました」


「ん?何が?」


「さっきのお客さん。いつも女の人に買わせるんです。何もないといいんですけど・・・」


いや。だからさ・・・


君達なんで、そんなどうでもいい事ばかり気がつくのかね?

俺は別に気にしない。


他人の事なんて、どうでもいいんだからさ?



"お前には一生理解出来ない"



もう他人に関わって煩わされるのは二度とごめんなんだ。

誰かに執着するのも、されるのも理解したいと願う事も。


俺は死ぬまで、一人で生きていく。


でも、そこに辿り着くまで、まだ先は長いんだ。

だから精々その為のネタを少しばかり提供して欲しい。


・・・その為に、俺は毎夜このコンビニにわざわざ足を運んでいるんだからな。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ