水曜日
「で?何故か助けた女の子に古井戸に落とされた、と?」
それは大変だったね?
足も痛そうだけど、大丈夫?
「まさか、出会って二日目でこんな目に遭わされるとはね?あんた達も気を付けなさいよ?人助けなんてするもんじゃないわ」
そうだねぇ?
誠也君なんだかんだでお節介そうだもんね?
いつも貧乏くじ引いてそう。纏うオーラがネガティブ。
「それで?アンタは、なんで人のマンションの前にいるの?わざわざここまで来なくても用事があるなら・・・」
う〜ん。
でも、そうすると多分あの子もいるだろうからなぁ。
「・・・何?まさか、アンタも何か巻き込まれてるの?」
そうだね。そうなのかな?
ただの勘なんだけど違ったら面倒だしなぁ。
「・・・誠也君、偶然女の子助けたって言ってたけど、あれ嘘だよね?」
「何よ急に」
「人間って嘘付くと無意識に顔に出るよね。表情に出さなくても身体の動きが不自然になるっていうの?私こんな格好でお仕事してるからぁー結構試行錯誤して可愛らしさを保ってるわけ。偶にいやーな客が来るとやっぱり態度に出ちゃうでしょ?だから、それを隠す為に色々やってるんだ〜だから、分かるんだよね」
つまり、私は人を騙すのがとても得意で、騙そうとしてる同類も見抜けちゃうんだなぁ・・・あとさぁ。
「本当は、あの子の事つけてたんでしょ?それを、松井君に邪魔された。そうじゃない?」
「・・・あんた、やっぱりその松井って子に何か言われたの?いつ?」
「ん?あの日。誠也君が女の子を助けて家まで送って行った日。帰りに松井君が声をかけて来た。私達が、あの子とどんな関係なのか知りたいって。お兄さんが行方不明なんだけど、それにあの女の子が関係してる可能性があるからって」
ん?なんで頭抱えてるの?
やっぱり誠也君、何か関わってるっぽいね?
「長谷川。この件には関わるのはやめなさい。私は、確かに仕事で彼女を調べてたけど、もう両親が警察に捜索願いを出した。後は警察に任せておけばいい」
「へぇお仕事なんだ?・・・じゃあさ、ちょっと調べて欲しい事があるんだけど?」
「仕事の依頼ってこと?」
いやいや、コレはどちらかと言えば私が情報提供してあげる方だと思うけど?まぁ、私は報酬なんて必要ないけどね?
「さっさと片付いてくれないと、いつもみたいにコンビニに行けなくなっちゃう。私ルーティーンを崩されるのは不愉快なんだよね」
お陰で私、関係ないのに冷や冷やしながら毎回コンビニに行くんだから。
なんでこんな事してるんだろ?意味わからん。
「順当に行けば次は私を狙って来る。でも、私の本当の狙いはそこじゃない」
「何を言ってるの?話が全く見えないのだけれど?」
「言ったでしょ?私は嘘を見抜くのが得意なの。あと誠也君、諸星の事も気付いてるよね?」
「・・・貴女も?」
お互い微妙な顔してるだろうね。
そうだよ。そもそも私達何してんの?
「もう、手遅れなんじゃない?彼のルーティーンもあやふやになってるけど?」
でも理由は分かんないけど、それが今何よりも優先したい事なんだよね。それが私を安定させている。
「これ以上崩れる前に手を打つ。それに、下手すると・・・手遅れになるかも」
警察に頼った方がいいのかもしれないけどさぁ・・・絶対私達門前払いされそうだよね?
普段は気にしてないけど、こういう時本当に不便!
そろそろ転職、考えた方がいいのかもね?