表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
黒鉄の風(くろがねのかぜ)  作者: godhand-ghost
6/6

第6話 ニュースを見よう

黒鉄の(くろがねのかぜ)

にぼし と おれ と バイク


仔猫“にぼし”

不器用な昭和の男“おれ”

癖の強いバイク“黒鉄”


1匹と1人と1台の、切っても切れない共同生活



第6話 ニュースを見よう


黒鉄は癖の強いバイクだ。


2気筒が同時に爆発するから、エンジンのフィーリングは単気筒のようだ。


1500ccの単気筒なんて現実には不可能だけど、それぐらい特殊なエンジンなんだ。


ただし、振動は期待するほどはない。


2気筒を逆回転させることで、お互いに振動を打ち消し合うらしい。


2気筒のパワーと単気筒の出力特性を合わせ持つ1500ccタンデムツインは、ほんの少しアクセルを開けただけで、後輪が瞬間的にスピンする。


もちろん、加速中のギアチェンジでもホイルスピンが発生する。


これでは市販出来ない。

危険過ぎるからだ。


本来なら解体されるはずのバイクを、公道テストと称しておれが預かっている。


それが黒鉄だ。


おれは趣味で楽しく走っている。


今日も霧降高原を走り、帰りにラーメンを食べて、今、家に着いたところだ。


気持ち良く走れた。


玄関のドアから小さな音が聞こえる。


カリカリカリ....


きっと、にぼしが爪を立てているのだろう。


ドアを開けると、足元ににぼしが絡みつく。


尻尾を立てて、上を見上げて、大きな声で鳴いている。


危なくて歩けやしない。


少し待っていると....

登ってきた。


おれの胸元まで、にぼしは爪を立てて登ってきた。


ジーンズも革ジャンも、だんだんとボロくなっていくようだ。


家に入れば、床に下ろしても大丈夫だ。


もう足元には絡まない。


それでも注意して行動する。


ヘルメットもグローブも革ジャンも、所定の位置に置いた。


座布団に座ると、心地良い疲れが染みてくる。


バイクに乗った後の、この疲労感が気持ちいいんだ。


壁の時計を見る。


もうニュースの時間だ。


おれはNHKのニュースしか見ない。


テレビをつけると、馴染みの女性アナウンサーが映っている。


にぼしがちょこんと、テレビの前に座った。


目で何かを追っている。


何を見てるんだ?


おや?


スカート。


ひらひらしたスカートを追っているのか?


今どきにNHKの女性アナウンサーは、ミニスカートも履くようになった。


あれ?


ひらひらしたスカートを....


下から覗いて....見ると?


疑問が湧いてきた。


にぼしの横に寝転んでみた。


そして、テレビを見上げてみた。


いや?


別段、何かが見える訳ではない。


特に何もない。


起きようと思った時に、にぼしがおれの上に乗ってきた。


丸まって寝るようだ。


おいおい!


おれは、こんな体制でニュースを見なきゃいけないのか?


今日はニュースが頭に入らない。


ひらひらが、頭の上で舞っている。


時間は流れ、天気予報が始まった。


画面から、女性アナウンサーの姿が消えた。


低気圧も去っていくらしい。


明日は晴れるのか。


今日は何故か、男性気象予報士の言葉が、癪に触るような気がする。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
href="https://narou.nar.jp/rank/index_rank_in.php">小説家になろう 勝手にランキング
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ