2話
目を開けるとそこには薙先生がいた。
「流石の一言、それに尽きる」
「ありがとうございます。先生のおかげです」
「そうか。今日はゆっくり休むといい。明日は大事な話がある」
そう言って先生は部屋を出ていった。
大事な話か、まあ近衛兵に関する話だろう。
刀夜はまた横になり、まだ戦いの跡が残るノヴァを見つめながら考えた。ノヴァを使って五年。もうそろそろ替え時か。今度の休みにでも新しい剣を作りに行くか。
次の日、刀夜と伊達翔は対面した。集中治療によって傷口は塞がっていたが、まだお互いに戦いの痕が残っていた。
先に口を開いたのは伊達だった。
「今まで君を見くびっていたようだ。すまない。あれほどの力があったとは、本当に知らなかった…」
「いいですよ。あなたも流石でしたね。」
許せないという気持ちはもはや微塵もなかった。
伊達はうつむき、静かに、ありがとうと言い、彼の担任と部屋を出ていった。
隣にいた薙先生が俺の正面に移動し話し始めた。
「刀夜、君に話がある。君はまだ二年生だ。しかしながら王家へ行く権利を獲得してしまった以上行くしかない。校長は特例として次の春から王都へ行けるよう手配してくださった。それでいいか?」
刀夜は即答した。
「はい、喜んでお受けします。」
卒業が一年早くなってしまったな。まあ願ってもなかったことだ。
早く王都へ行きたい。