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あの時、ああしておけたなら  作者: 狂い豚カレー
32/35

マジな顔はあなたに似合わないって、失礼じゃないですかね

2日連続かつ、本日2話更新してしまいました。

この話の流れが良く分からない方は、3~4話くらい前のカラオケの話辺りから読んでもらえると丁度良いかと思います!

本作品は、恋愛(現実)と見せかけたハートフルヒューマンドラマです。

 話も終わってしまったが、目的地としていた公園に到着した。

 このまま解散するのも忍びないので、ゆっくりと歩きながら話し始める。


 卒業アルバムを活用したとのことだったので、丘には誰で抜いたのかを尋ねた。

 同級生である俺と慎二は、当然アルバムの写真に写る全員と面識がある。


 丘の回答は玄人好みのもので、俺の趣味とも、慎二の趣味とも重ならなかった。

『本当はお袋さんでフィニッシュしたんだろう』ということは言わずにおいた。

 武士の情けというやつだ。


「テストも終わったし、明日何かやろうぜ」


 自分のポジションを取り戻した慎二が声を上げる。


「そうだな、それなら……」

「……スタジオか」

「ああ」


 俺が過去に戻れたらやりたかったこと。

 その一つが、バンドだ。


 このメンバーで、デカい音を出す。


 それだけで、一つの願いが叶ってしまうのだ。


「丘は練習進んでるか?」

「まぁ、ボチボチ」


 さすがに菜箸での練習では、そこまでモチベーションが上がっていないだろうか。

 一緒に楽器屋に行ければ良かったのだが、中々タイミングが合わなかった。

 競馬の配当金も丘は蚊帳の外だったので、俺と慎二とは条件が違う。  

 

「あの曲だったら、俺は何とか最後まで弾けるようになったと思う」と慎二が言う。

「凄いな! まだ一か月経ってないぜ」

「いや、博和の教え方が上手かったから。むしろ、博和が上手すぎと言うか、凄すぎ」


 慎二はギターの話をすると、俺に対して『凄い』しか言わなくなるな。

 そう言われると俺は、『お前の方が凄くなる』といつも思う。

 そんな話をしながら、俺達は明日の予定を立てた。

 

――


 翌日、近所で待ち合わせをした俺達は、楽器屋へ向かう。

 慎二はギターを持っており、丘はリュックサックを背負っている。

 編成的には俺がベースを弾くことになりそうだ。

 

「へぇ~、こんなところに楽器屋があったのか。渋い雰囲気だな」


 この前慎二と来た楽器屋を眺めながら、丘が言った。


「駅前の楽器屋だと思ってた」

「あっちはバンドと言うよりも、音楽の授業とか、ピアノの楽譜とか、そんな感じだよな」

「確かに」

「とりあえず入るか。昨日の夜、予約はしておいた」

「おお、サンキュー」


 スタジオと美容院には予約が必要。

 前世の俺がそのことに気付くのには、それなりの時間を要したがな。

 とりあえず、そんなことはどうでもいい。


 店に入ると、店主が「いらっしゃい」と言った。


「こんにちは」

「今日はスタジオだよね。ちょっと早いけど入っちゃっていいよ」

「本当ですか! ありがとうございます」

「初めての人には、使い方も教えるから」


 時計を見ると、予約の時間まで三十分近くある。

 やはりこの店主、若者には優しい。


「お邪魔します」


 スタジオの中にはギターアンプが三台あった。

『Marshall』『Roland』『fender』という有名メーカーのものだ。

 慎二は初めてのはずだったが、迷わずにMarshallのアンプを選んでセッティングを始めた。


「そのアンプにするのか?」

「ああ。この前試し弾きさせてもらった時のやつ」

「そうだったな。なるほどな」

「あの音が忘れられなくてな……。家で弾いても、あんな音出ないし」

「確かに。あ、セッティングの仕方は分かるか?」

「え~と……。シールド? このケーブルをここに挿すのは分かる」

「ああ、そしたらこれ、真空管アンプだからスタンバイのスイッチを入れて、しばらく待って……」


 俺が説明していると、店主が「君、やっぱり詳しいね」と言った。


「そしたら、ミキサー……。歌のマイクの機械と、ドラムだけ教えるよ」

「よろしくお願いします。あ、丘、スティック……」 


 さすがにここで菜箸を出されると恥ずかしい。

 ここにもドラムスティックは売っているから、一緒に選ぶか。

 そう思って丘を見ると、リュックからドラムスティックを取り出していた。


「え? スティック、持っていたのか?」

「さすがにな……。この前お前の家でやった次の日に買ってきた」

「マジか……」


 思っていたよりも気合が入っていたようだ。

 期待を超えてくる男だ。


「マイクは何本使う?」

「あ、三本で……」

「全員? ……気合入ってるね」


 少し間を置いて、店主はそう言った。

 それはそうだろう、初心者が楽器を弾きながら歌う難易度は非常に高い。

 まぁ、今日は片方でも構わない。

 歌えなくても、楽器が弾ければそれで良い。

 楽器が弾けなければ、歌えば良い。

 上等だし、充分だ。


 慎二は少し恥ずかしそうにしていた。

 それはそうだ、まだカラオケにも行ったことがない、つまり人前で歌ったこともない。

 だが、前世ではギターボーカルで活躍していた。

 何の心配もいらない。


「あ~、あ~、こんな感じですかね?」

「はい、OK」


 ハウリングしない程度の音量でマイクのバランスを整えてもらう。

 

「触るのはここだけだからね」


 併せて、操作方法も教わる。

 当然俺は分かっているが、他の二人と一緒に聞いておく。


「ギターも音出してみて」

「は、はい」


 言われた慎二は、Dコードを弾く。


「……うん。まぁそれでやってみて。良く分かんなくなったら音量を下げると良い」

「は、はい」

「ドラムは……。あぁ、前のセッティングが残ってるか。調整は大丈夫そう?」

「あ、細かいところは自分が」と俺が答えた。


「分かんなくなったら聞きます」

「そう。じゃあ、楽しんで」


 そう言って、店主はスタジオを後にしようとした。

 しかし俺は、まだ肝心なことを言ってない。


「あ、あの!」

「ん?」

「べ、ベース貸してください!」

「……」


 他人の世話を焼くのに夢中だった俺は、自分の楽器をまだ用意していないのであった。

更新前後でアクセス数が増えて、「やったぜ」って喜んでいたんですが、良く考えたら、話を思い出すために読み返してた自分自身のアクセスだったんすよねぇ


ありがとうございます、引き続きよろしくお願いいたします!!

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