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あの時、ああしておけたなら  作者: 狂い豚カレー
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青春

本日珍しく二話投稿しています!

この話からご覧になられた方は前話をご確認ください!!

 彩はまるで罰ゲームを覚悟しているかのように、俺に問いかけた。

 先程までのやり取りは非常に楽しかったが、これ以上繰り返すことはしない。

 少し緊張しながらも、勢いに任せて俺は口を開いた。


「……今日学校終わった後、空いてる?」

「……え?」

「テストも終わったからさ。一緒に遊びに行こうぜ」


 俺の言った言葉が意外だったのか、一瞬間が空く。

 さりげなく言った風の言葉ではあるが、相当に勇気を出していた。


「え、そんなのでいいの?」

「ああ」

「二人で?」

「うん」


 彩は少しだけ考えるような素振りを見せてから言った。


「えっと、いいんだけど、今日の放課後はちょっと用事があるんだよね」

「そっか……」


 前置きは優しげだが、何回誘っても断られるやつだ。

 最後に『また誘って』と言われるところと、意気消沈して二度と誘えない俺の姿が目に浮かぶ。


「だから、一時過ぎとかからだったら大丈夫だよ」

「え?」

「一度家に帰ると遅くなっちゃうけど、学校の近くならそのまま向かうよ」

「あ、うん」


 あまりにも簡単に了承され、諦めかけていた俺は次の言葉が上手く見つからなかった。


「えっと……。その、いいの?」

「いいのって、博和が言ったんでしょ?」

「そうだけど……」


 最初に断られると思った瞬間、前世で培った防衛本能が出てしまったようだ。


「博和のことだから、もっとおかしなこと言ってくるかと思ったよ」

「いやいやいや」


 俺はそんなにおかしなことは……言っているか。

 この一か月間の己を顧みると、大変おかしなことになっている。

 どうしてこうなった?


「だから、『何でも言うこと聞く』って約束はこれで果たしたからね! もう他のには変えられないよ!」


 彩はそう言って笑った。

 さっきまでの怒った顔とは違い、ただただ眩しいその笑顔に俺は見惚れた。


「い、いいよ、勿論。俺が言ったんだし」

「ふ~ん、そう?」

「あ、ああ」


 彩は笑っているというだけでなく、機嫌も大分良くなっているように見えた。

 そして本鈴のチャイムが鳴る頃、話は終わったとばかりに俺から離れていく瞬間、彩は小声で言った。 


「別に、約束なんてなくても、普通に行ったけどね」

「え」

 

 聞き間違えだったかもしれない。

 彩の顔はもう見えないから表情は分からない。

 ただ、俺の頭の中で繰り返されるその言葉は、俺の頬をどうしようもなく緩ませていくのであった。


 なお、一連の流れを見守っていた丘がとんでもない顔で俺を見ているのに気付いたのは、それからしばらく後のことだった。

お読みいただきありがとうございます!


青春ということで思い出しました。


この話はフィクションなんですが、結構真面目な話をしている時に、熱くなって、何か若々しいことやりたくなって、「若いことやりて~!」って大き目な声で言ったんですよね。


そしたらそれが「若い娘とヤリて~!」って叫んだと周りから捉えられていて

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