表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
あの時、ああしておけたなら  作者: 狂い豚カレー
23/35

誰よりも三倍、四倍、五倍勉強する者、それが転生だ

あらすじ:定期テストを前に、彩に『勝負だ』と言い放った博和。

前世で受験戦争を勝ち抜いた彼は、そこら辺の中学生の三倍、四倍、いや五倍は勉強している。

男尊女卑の家庭に育った自称フェミニストの博和は、どんな思いでこの勝負に望むのか――。

 ――今日は中学生になってから、最初の定期テストだ。

 準備は万端と言うか、前世でもテストの点取りは得意だった。

 今生でも遊んでばかりいた訳ではない。

 

「博和~、勉強してきた?」


 少し緊張感のある雰囲気の中、彩が話しかけてきた。


「それなりには。新田は?」

「随分余裕じゃん? 私はちゃんとやってきたよ」

「ほう」

「何その態度! 絶対負けないんだから!」 


 先日の雑談からの流れで、彩と点数勝負をすることになった。

 フェミニストの俺としては大変心苦しいが、大人(素人童貞)の実力を見せつけねばならない。


「昨日だって、夜の十二時近くまでやってきたし」


 夜中の十二時まで、夜のお勉強……。

『ちょっと休憩』と言いながらテレビをつけると、めくるめく大人の世界……。

 ボリュームを極限まで絞り、画面に全集中……。

 そうだな、この時期はトゥナ〇ト2か、ギルガメッシュナ〇トか……。

  

 おっと、だいぶ思考が逸れた。

 勉強方法は人それぞれだが、俺は試験前は特に勉強を早く終わらせて、睡眠時間を確保している。

 夜中まで起きていると色々と誘惑も多い。


 勉強の中身についても、新しく何かを覚えるということはしない。

 簡単な問題を解いて、解ける手応えを感じておくことで、自信を持って試験に臨むことが出来るのだ。

 ……そのためには、どうしても普段からの積み重ねが必要だが。

 

「それは遅くまでご苦労様」

「博和は何時まで起きてたの?」

「俺? 九時過ぎには寝たけど」

「九時過ぎ!? 早すぎじゃない!?」

「普段から勉強してるからな」

「それにしたって……。何点くらい取るつもりなの?」

「500点」

「えっ?」


 彩は驚いた顔をしているが、俺としては当然だ。

 前世での最初のテスト、つまり今回のテストの点数は五教科で494点だった。

 これは俺が特別凄いわけでなく、最初ということで問題が簡単だったため、間違えたのは全体で二問だった。

 更に、俺は学年全体では三位で、俺より順位が上の二人のうち一人は500点満点だった。


 俺はその後、テストが終わる度に間違えた問題を必ず解けるまで解き直した。

 既に解けている他の問題以上に理解を深めたため、仮に前世と同じ問題だった場合は間違えることはまずないだろう。

 課題だった社会科についても覚え直しているうちに記憶が定着したので問題はない。

 後は解き方というより計算ミスなどの凡ミスに注意すべきで、集中力の問題だ。

 その点も前世以上の睡眠時間の確保でクリアしていると言える。 


「無理でしょ! 昨日も早く寝すぎだし!」

「やっぱ無理かな?」

「無理無理!」 

「……よし、じゃあ500点取ったら何かしてくれる?」

「え、いいよ。何でもしてあげる」


 何でも! 思わず笑みがこぼれる。


「おぉ、何してもらおうかな」

「え、変なこと考えてるでしょ。絶対無理だし! 逆に取れなかったら何してくれるの?」

「何でもしてやるよ」

「何でもじゃ約束にならないしな~。それにやってもらうのが決まっているから」

「分かった、じゃあ何か奢ろうか?」

「それだね! ごちそうさま!」


 ……『480点くらいにしとく?』という優しさを期待していたが、そんなものはなかった。

 

「その代わり500点取ったら……」

「取ったら?」 

 

 制服の匂いが嗅ぎたい!

 そう、俺は変態なのだ。

 でもそれを言葉にしたら、一緒に居られない気がする。


「……いや、テストに集中しよう。取ってから考えるよ」

「そう? じゃあ私も何食べるか考えておくね」


『俺は彩ちゃんが食べたいですぅ!』


 最後の妄想もやはり言葉にならず、俺達はテストに臨んだ。


――


 テストが終了すると、丘が話しかけてきた。


「どうだった?」

「多分全部満点。丘は?」

「凄い自信だな。俺は八~九割くらいかな」


 ちなみに丘も成績は悪くない。今回のテストの平均が400点には届かない程度のはずなので、上の下くらいのポジションか。


「全然悪くないじゃん」

「嫌味か。なんだろ、博和の得意科目は性教育っぽいのにな」

「おう得意だぜ! 実技は未経験だがな!」

「自分自身で実験してるじゃん」

「おう、今朝もバッチリ抜いてきた」

「その手で俺に触んな」

「握手しようぜ」

「絶対しない」

「腕相撲しようぜ」

「絶対しない」

「なんだよ、柔道より絶対良いのに」

「お前柔道馬鹿にすんなよ」


 この頃の丘は真面目だな。

 中学卒業した後は一番柔道を馬鹿にするのに。


「まぁ結果は明日分かる」

「そうだな、折角終わったからどっか遊びに行こう」

「いいね!」


 試験後は自由に満ち溢れている。

 一仕事終えた気分と言うか、色々あったけどこういう気持ちも久しぶりだな。

 今日は何も考えずに、やりたいことをやろう。


 俺達は何とも言えない解放感を胸に、学校を後にした。

ここまでお読みいただきありがとうございました!

ブックマーク100人突破が嬉しすぎて……!!

100人の方にこの恥ずかしい物語を読まれていると思うと顔から火が出そうですが、ある意味この恥ずかしさが喜びで原動力です!!

うわぁ~頑張ろう、次話からはさっさと更新します!!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ