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あの時、ああしておけたなら  作者: 狂い豚カレー
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ヤバい奴らの集会所

 月曜日、部活の時間になった。

 仮入部の期間も終わり、今日から俺はパソコン部だ。

 色々悩んだ結果、慎二と同じ部活でやっていくのも面白いかな、と考えた結果だ。

 前世でも入り浸っていたし、部員もいい人ばっかりだ。


 柔道部? 寝言は寝技の後だな。


「えっと、片桐君だっけ。俺は吉原。よろしくね」


 知ってる。

 ヤバい人だ。

 ただ今生では初対面。精一杯感じ良く挨拶をする。


「吉原先輩ですね、よろしくお願いします!」

「パソコンの使い方は分かる?」

「仮入部で何度か触っているので、ある程度は」

「お、やるねぇ。パソコンで何かやってみたいことは?」

「はい、インターネットを……」

「ああ、なるほどね」


 先輩はそういうと、パソコンをインターネットに接続し始めた。

 ……うん、電話線の接続はやっぱり時間がかかるな。

 少しずつ画像が出てくるこの感じ、中々懐かしい感覚だ。


 そして、懐かしいアスキーアートが並ぶ掲示板を俺に見せて来た。

 

 うわっ、やっちまった、これは『あめちゃんねる』、略して『あめちゃん』だ。

 確か、当時もこんな画面を開きながら先輩はニヤニヤしていた。

 そして、今も俺をニヤニヤしながら無言で見つめている。

 気まずさに負けて、俺から話す。


「うわー、初めて見ました。このホームページって何ですか?」

「……危ないやつらの溜り場みたいなもんさ」


 先輩はそう言うと、ヤホーのトップページを表示して、検索窓に『あめちゃんねる』と打ち込んだ。

 そして、マウスを俺に握らせる。


「これで片桐君も俺達の仲間さ」


 背中がゾクゾクとしてきた。

 

「この、一番上に出て来たやつをクリック……カーソルで選んでマウスを押してみてごらん」


 あめちゃんねるのトップページが表示される。

 先輩は俺の耳元に口を近付ける。


「Welcome to dark side」


  俺は死んだ。


 ――


「博和は早速インターネットをやってるんだ」

「慎二……」


 黒歴史コピペ誕生の瞬間に立ち会ってしまった俺は、激しい疲労感を感じていた。

 良く考えたら、同じようなことを俺は慎二にしていたな。

 今更激しい後悔を感じている。


「何か疲れてる?」

「いや……。楽しいよ、とっても楽しい」

「そっか。何か変わったホームページ見てるね?」


 慎二のその言葉を聞いた先輩が、すかさず慎二の横に来て説明を始める。

 人が好い慎二はその話を真剣に聞いている。

 よし、この場は慎二に任せて俺は俺のやりたいことをやろう。

 掲示板の住人になっている場合ではない。


 とりあえず『あめちゃんねる』を閉じて、パソコンにインストールされているソフトを確認する。


 ……おお、伝説のエロゲー、『上級生』だ。『鬼畜神スピア』もあるぞ。こんなもん中学生がやったら、人生が変わっちまう。


 ……俺は中身が大人だから別に良いか。


 試しに少しだけプレイしてみよう。


 ――


 ……気付けば部活も終了の時間になっていた。


 俺はと言えば割と夢中になってしまい、その日はゲームをプレイして部活の時間が全て終わってしまった。

 慎二は先輩に洗脳され、『俺……『世界の闇』ってやつに近付いてしまったかもしれない』とほざいていた。お願いだから目を覚ましてほしい。


 薄々感づいてはいたが、ここにいたら、間違いなくモテることはない。


 図らずとも俺達は、先輩の言うダークサイドに巻き込まれてしまったようだ。


 俺は幽霊部員になる決意を固め、部室を後にした。

ここまでお読みいただきありがとうございます!


先程間違えて、本作をノクターンの「君に恋して〜」の方に投稿してしまいました!

万が一読まれてしまった方がいたら、申し訳ございません!!

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