暗い部屋で
挿絵作成:千年示威さま
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ジャンル:指定なし
必須要素:指定なし
私以外、ここには誰もいない。
ここに来るまで、ずっと悩み続けていた。
変わってしまう前に、死を選ぶか。
それでも、生にしがみつくのか。
ずっと考えて、けれど、答えが見つからない。
袋小路の迷宮のように。
そして、この日を迎えてしまった。
母は何も私に教えてくれなかった。
父の顔は知らないし、名前さえも知らない。もしかしたら、いないのかもしれない。
私はヒトでありながら、ヒトでないモノになる。
どうして、こんなことになってしまったんだろう?
神はどうして、こんな試練を与えたのだろう。
「はあ、はあ……」
いよいよ、本格的な変化が始まった。
ここにたどり着くまで、かなり息苦しさを感じていたが、本当に苦しくなって来た。
背中が熱い。
私はどうなるのだろう?
ヒトのままでいられるだろうか?
それとも、別の違うモノになるのだろうか?
調べたら、私は蝶の羽を持った、妖精になるのだそうだ。
私はそんなこと、願っていなかった。
母と同じように平凡な生活をして、平凡に生き、子を育て、死ぬのだと思っていた。
もし、私も子を宿したら、その子も私と同じようになるのだろうか?
だとしたら……。
私はせめて、こうなることを伝えておきたい。
そうでなければ、こんな苦しみや辛さを覚悟できないだろう。
なりゆきに任せてしまった私は、こんなにも苦しく、辛く、悲しく、怒りに震えている。
もし、母がここにいたのなら、きっと殴りかかっていただろう。
それがいいのかどうかはわからないが……。
「あっ……うううう……んんんっ……」
息が切れてきた。
意識が朦朧として来る。
私は変化に対応できずに、死ぬのだろうか?
この暗い部屋の中で、一人、消えていくのだろうか?
私は、どうなってしまうのだろうか?
「あああ……」
うつ伏せに倒れ込むように、私は横たわる。
まぶたが重い。
……ふと、僅かに、光が見えた。
思わず、笑みが零れる。
終わったのだろうか?
それとも始まるのだろうか?
ゆっくりと瞳を綴じて、そのときを、待つとしよう。
私は、疲れてしまったから。
●あとがき
綺麗なイラストに、どんな話をつけようとかなりプレッシャーを感じたのを覚えています。
内容に関しては、悩みましたが、モチーフになった歌があると聞いて、参考のためにとそちらを見てみると(英語の曲でしたので、自動翻訳さんにお願いしました・笑)なんだか、とっても、救いがないような、切ないような、そんなイメージを抱いて。
これだっ!!
と閃き、このような作品が生まれました。
でも、完全に救いのないお話は、あまり好きではないので、読んでいる方に結果を委ねるようなそんなエンディングにしてみました。
私としては、ハッピーエンドが好きなので、きっと……と希望的なのを思っていますが、皆さんはどう思ったでしょうか?
少しでも楽しんでいただけたのなら、幸いです。