表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/17

1-3「予想外の展開」

第1章3話〜予想外の展開〜


カムイは猛烈にイライラしていた。

今が稽古だということも忘れ、斬りかかって来る部下を猛然と張り倒す。


「うがぁぁっ!!!!

 なんでなんだっっ!!!!!!!!」


稽古場に響く雄叫び。

しかし部下達は皆地面に突っ伏し、それに答える者はいない。

哀れ、典型的な八つ当たりというやつである。


「・・・いい加減にしないか、カムイ?」


いかにも呆れた、といった口調で呟く声がひとつ。

扉の方を振り向けば、金髪碧眼の美貌の男子が一名。

・・・と、後ろにはビクビクと震える少年が隠れるように立っている。

生き残った部下が彼に泣き付いたのだろうということは予想に難くない。


「クレイか。すまんな。」


素っ気無く返すものの、苛立ちを声から隠すことはできない。


「まだあの子は見つかってないみたいだなぁ

 鬼の第一騎士団長ともあろう奴が女一人で情けないことだ」


さもおかしそーうに言うクレイに、カムイは眉をひそめる。


「仕方ねーだろ。

 連れて来たつもりが、こっちに着いたらいねーし・・・

 さすがの俺にも予想外の展開なんだ」


そう呟くカムイは、傍から見たら捨てられた子犬のように不安げな顔だ。


「気配を感じるから、こっちの世界にいることは確実なんだけどな・・・

 誰かの結界内にいるのか、それ以上、場所が特定できねぇんだよ

 変な奴にとっ捕まってなけりゃいいんだが・・・」


はうーっと彼らしくない弱気な声をあげてカムイは座り込む。

こんなカムイをクレイはいつもほっとけずにいる。


「一応、彼女を探すよう公布は出しているんだがな

 名前もわからないというと、なかなか難しいものだ

 お前の言葉をもとに作った似顔絵も大して役に立たんしな」


この国では珍しい黒い瞳が唯一の手がかり、といったところだろうか。

身長は160センチくらいと小柄で華奢な体型。

アーモンド型の大きな猫目にそれを縁取る長い睫毛が印象的。

厚めの唇は紅を差さずとも赤く、白い肌に咲いた華のよう。

鼻は低めだが、それが整った顔を愛嬌のあるものにしている。

くるくると変わる表情はたまらなく魅力的。


カムイの話す彼女は、こんな感じだ。

しかし、惚れた男の言葉なんて信じるもんじゃない。

まぁ実際はもっと平凡な娘なのだろうと、クレイは結論付けている。


しかし、興味が無いわけではない。

女遊び激しく、一人に執着したことのなかった友人がここまで入れ込む女。

しかも一目惚れと来た。

こんな面白い話が他にあるだろうか?


「まぁそんなに焦るなよカムイ。

 同じ世界にいるんだから、必ず巡り合うさ。」


にやりと意地悪そうな笑みを浮かべて、友人を励ます。

単純な友人は、ぱぁっと顔を綻ばせ「そうだな!俺は頑張る!」なんて言っている。


さぁて、これからどんな面白い筋書きが待っているのやら?

異世界の娘さんとやら。

俺を楽しませてくれよ?



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ