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1-1「これは運命?」

どうも、灰色狼娘です。

TravelForYouは初投稿作品です。

読んでくださった方がこんな世界に行ってこんなキャラと会ってみたい!と思える小説を目指して頑張りますので、よろしくお願いします。

文章力皆無の修行中の身です。

批評・応援などメッセージお待ちしております。


白馬の王子様なんて、信じてるわけじゃない。


でも、もし運命の人、私だけの王子様がいたら?


この出会いの意味は如何に。


第1章1話〜これは運命?〜


急ぎ足で駅へと急ぐ。

耳元で流れる曲調と足が刻むリズムが、自然と重なり口元がほころんでしまう。

3分後に出る電車を逃せば、完全に遅刻。

時間に厳しいキャプテンは2日連続の遅刻を認めるほど甘くないはずだ。

たかがサークル、されどサークルとでもいうか。

私は所属するフトサルサークルの練習へと向かっていた。


仕方がない。

奏でるリズムを掻き消して走り出す。

今日はお気に入りの黒いパンプス。

コツッコツッという小気味よい音を鳴らして速度をあげていく。

駅はもう目の前だ。


スイカを手元に出して、バンッと勢いよく叩きつける。

電車はあと30秒もすれば構内に入ってくる計算。

我ながら素晴らしい時間間隔!

・・・なーんて余裕で悦に入っていると、ぴーっと耳障りな音がする。


「え?」


呆けた顔で改札機を見れば

「残額が足りません。」


「うそーーーーーーー?!」


更に追い討ちをかけるように、小さな絶叫を掻き消すような駅のアナウンス。

どうやら電車が着いたらしい。


もう諦めてしまおう。


・・・。

2日連続の遅刻、といったが、詳細を話せば今月で6度目の遅刻。

嗚呼、無念。

今頃、仮病の欠席連絡なんてしてもこっちの状況はバレバレだろう。

しばらく音信不通になって入院してたとでも言ってみるかな〜


しばし改札前で一人作戦会議。


名案も浮かばず小さく伸びをすると、駅の窓から青空が見えた。



「・・・動物園にでも行くかぁ」



晴れた日には動物園!

子どもか!!と言われればそこまでだけど

こんな気持ちよく晴れた日にすごすご帰宅なんて、もったいないじゃん?

気持ちも新たにスイカをチャージして、私は隣街の動物園へと向かった。


まぁ、そこで何が待ってたかなんて

知るわけもなかったんだよね


原田りん、19歳。

この後、彼女に起こる珍事は、他に例を見ないほどのものだった。


****************


平日の動物園はがらんとしていてちょっと寂しいくらいだった。

周りを見ればきっと同じく暇をもてあます大学生であろうカップルばかり。

先月別れた彼のことを思い出して、私は小さくため息を吐いた。

別に未練なんてないんだけどね。

こう目の前でいちゃいちゃいちゃいちゃ・・・・

されると、やっぱり心が痛む。


お前ら、お互いばっか見てないでもっと動物見ろよ!

なーんて心の中で絶叫する。


そうやってカップルを避けるように道を辿っていくと、いつの間にか狼のエリアへと着いていた。

2メートルほどの堀をへだてたところに狼達がくつろいでいる。


「お前達、気楽そうでいいねぇ〜」


目の前にいるひときわ大きく黒い狼などは、だらりと肢体を投げ出し大あくびをしている。

ほんっとに羨ましいわ。

人がいないと気が抜けてしまうものなのか?

思いがけず、狼相手にお喋りを始めてしまう。

今取っている講義がどうだとか、サークルでこんなことがあっただとか、本当にとりとめのない話を並べたてる。

例の黒い狼もまんざらじゃない様子でこっちを見てくるので、どうも口が止まらない。

小さい頃もこうやって飼っていた犬相手に話してたなぁなんて懐かしい思い出が頭をよぎった。



「・・・ところで、お前、なんて名前なの?」


「・・・カムイ、だ。」


・・・・?

え?


誰かに聞かれたと焦って振り向くが、そこには誰もいない。

しばらくきょろきょろしてみるが、気配すらないのだ。


「何してる。こっちだ。」


低く太く、朗々としたテノール。


へぇ。

最近の動物園ってこんな機能まで・・・

時代の移り変わりってすごいのね


スピーカーはどこについてるのかな〜なんてきょろきょろしていると


「お前は馬鹿か・・・

こっちだと言っているだろう」


声の方向に顔を向けると、先ほどの黒い狼が立ち上がりさも可笑しそうな顔をしている。


「うそでしょーーーーーーーーーー?!」


最近、疲れてるって自覚はあったけど、幻聴まで聞こえるなんて・・・!

そう思った瞬間、足元がふらついて視界が歪んだ


「おいっ!どうした?!」



耳に優しいその声が焦ったように響くのを聞いたのが、この世界での最後の記憶となった。



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