8 魔力の扱い?
小鳥の鳴き声で目が覚めた。
非常に爽やかな朝だ‥‥‥
鼻歌混じりに朝食を用意している人(神)が居なければ‥‥‥
「ああ、おはようございます。今日は私が腕を振るったご飯ですよ♪ たくさん食べてくださいね~ 」
「あっ、おはようございます。はい、頂きます。えっと、その前にシャワーを浴びたいのですけど、ありますか? 」
朝は、機嫌がいいのか。しかし、敬語がきつくなってきた。よくよく考えれば、最近まで人とまともに話してなかった事を思い出した。スムーズに話せていたのは状況が特殊だったからか、人じゃ無かったからか。まあ、いずれにしてもやりづらい‥‥‥
そんな気持ちが伝わったのか、雷呀さんは微笑んで言った。
「お風呂有りますよ。それと敬語じゃなくて良いですよ。錘螺様のときみたいに、砕けた口調で。なんで私だけ敬語、ひどい‥‥‥ 」
なにやら、恨めしそうな顔で見てきた。最後の方は小声だったため聞こえなかったが、敬語は辞めても良いみたいだ。
「ありがとう。じゃあ、シャワー浴びてくる」
そう、改めて言うとすごく嬉しそうな顔をされた。
う、なんか気まずいな。
「いってらっしゃい。奥から二番目の扉の所です。因みに、一番奥はトイレです」
ひらひらと手を振って見送られた。背中がムズムズする。
あー、今日は実戦だったっけ? やっと魔法を使える~
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ここは、神界のとある部屋。
独りの神氏が溢れかえっている書類に向かって、殺気を放ちながら腕を高速で動かしていた。
目は血走り、口は歪んだ笑みを浮かべていた。
その口からこぼれ出ている言葉は、強い怨嗟を含んでいた。
「ふふふ、ふざけやがって♪ 神が遊びに行くなんて、しかも仕事を押しつけやがって それだけならまだしも、最高神がこのことを嗅ぎつけてめんどくさい仕事を押し付けるし~ 錘螺様、還ってきたら覚えとけ★ 」
そうこの神氏は、忘れ去られたであろう雷呀である。
あれから、半ば強制的に仕事を押しつけられた雷呀は仕方がなしに仕事をしていた。
これは、世界が崩壊しないように管理する仕事が主であり、難しい仕事は終わらせておいていて貰えていたため雷呀でも行えていた。
そう、最高神の神氏であるラガーに見つかり最高神に報告が上がるまでは‥‥‥
もちろん、最高神は体よく使える雑用係りを見逃すほど甘くなかった。
すぐさま、あまり重要では無いけど目を通す必要がある書類の処理や返信用の書類の誤字脱字のチェックが増えた。
しかし、量が多すぎて手がまわらなくなった。それがこの現状をおこした原因でもあった。
少しチャラいというキャラを背負っていた雷呀であったが、今ではもう見る影もなくなっていた。目の下には隈が出来ていて、瞳には殺意がぎらついている。
まさに復讐に燃える鬼女という風体になっていた。
もちろん、その様子を最高神がニヤニヤと眺めていたのは確かだった。
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「うう、何故か寒気がします。風邪ですかね? まあ、大丈夫でしょう。しかし今日は実戦ですが大丈夫ですかね? 魔法を使うのはそんなに簡単じゃないのですがね」
甲斐甲斐しく朝ご飯の定番である、味噌汁、鮭、玉子焼き、漬け物、をすべて揃えた錘螺[雷呀モード]はため息を吐いた。
もちろん、並べるタイミングもきちんと考えている。それらはすべて、眞鵺が元の世界にいたときのストーキングの成果なのは確かだった。
なにしろ、施錠していても関係が無く視線を感じとられたとしても一切の証拠は残らず世のストーカー達が狂喜乱舞するような状況を作れるのだ。
二十四時間の監視と高機能カメラによる録画&録音し続ける姿は、側にいた雷呀が完全に引いてしまい暫く近づくのを躊躇うほどだった。
まあそんなこんなで、朝ご飯を食べるために戻ってきた眞鵺は元の世界の食事[健康的な]に目を輝かせて完食してくださいました!
初めての手作りご飯をです。
感動と興奮で鼻血が止まらなくなっても仕方がないと思います。
おもいますよね?
ああ、ほんとに降りてきて良かった!
もう死んでも良いです!
まあ、神なので消えることはあっても基本、不死身なので死なないんですけどね~
ああ、悶えが止まらない………
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シャワーを浴びて帰ってくると、久方振りに見たこれぞ日本の朝ご飯といわんばかりの品が並んでいた。
思わずご飯(これも慣れた白米でした。)を三杯もお代わりしてしまった。
「本当にうまい。毎日食べたいぐらいです」
何故か食べているときに雷呀さんがいなくなったのだけどどうしたんだろう?
しかし、力も出たし遂に魔法が使える!
俺の能力は『言霊』だったはず。
しかし、どんな事でもではなく、制限があるのだったか
まあ、楽しみすぎるな~
そそくさと戻って来た雷呀さんは何故か服が変わっていたが真剣な顔をして外へと出て行った
「た、食べ終わったら出てきて下さいね」
と何故かソワソワしながら………
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ぽかぽかとした陽気な日差し
空にはワイバーンが飛び回り、獲物を探すように眼光を光らせ
スライムとゴブリンが死闘を繰り広げ
木々は赤黒い色に変色してうねうねと根を動かしている
そこに降り注ぐ見た目だけは良い魔法
すべてを焼き払い、更地にしてまた、復元する
なんという事でしょう、あんなにもワイバーンが飛び回っていた空には雲一つもなくなりました。
また、地面には動くものは何もなく、唯青々とした草が生い茂っている。木々は綺麗な違和感のない色になり、ついでに増設した泉のお蔭でまさに最高の避暑地になりました。
「ふふふ、カ・ン・ペ・キ (キラーン)」
ドヤ顔でふんぞり返っていた錘螺様[雷呀モード]に、後ろからの若干引いている眞鵺から声がかかったのはそのすぐ後だった。
「えっと、雷呀さま。何をしていたのですか? 」
完璧に怯えられたのでした。
「どっどこから? 」
近づこうと一歩進んだら、一歩下がられた~
「えっと、嬉々として更地にしてた時からです……… 」
あー、そこからね~ っていうか最初からかい!
「終わった……… 癒やしキャラのお姉さん属性で通すつもりだったのに~ はっ、キャラが崩れている……… 」
ぶつぶつ言い出して若干暗い雰囲気を纏っている錘螺様[雷呀モード]は置いておいて、周りを見渡してみた。
あの過程をみていなかったら、確かに感動したかもしれないな。
空中には、キラキラとした赤や青、緑の球体がフワフワと漂っている。
また、泉の水面は澄んでおり、底がはっきり見える。
いかにも、映画にでも出てきそうな幻想的なファンタジーな景色だ。
と、錘螺様[雷呀モード]は気持ちを切り替えたように、落ち込んでいた様子を全く感じさせない柔らかい笑顔で言った。
「こほん、それでは魔法の訓練を始めましょう。まずは、魔力を体に慣らすところからですね。よし、ヨイショ! 」
おもむろに、空中に黒い穴を出現させた。
あれは、エミリーが初登場をはたしたときに使ってたアイテムボックスみたいに、沢山のものを持ち運べる魔法だな。
そこから取り出したのは、見たことのない果物や魚、それとお肉だった。
「ふー、体に魔力を慣らすには、魔力を食べて自身の血肉にするのが手っ取り早くすみます。なので、午前中は出来るだけ多く魔力を食べ、午後はその魔力を感じ取れるようになる訓練をしましょう。それがまず始めの訓練です。因みにこれでも、近道ですのでこれ以上簡単な方法は無いと思っていて下さいね~ 」
うう、ハードルが高い………
雷呀さんだと分かり辛いので、錘螺様[雷呀モード]という風に書き直しました。
あっ、雷呀の犠牲になった瞬間は 『3 眞鵺の秘密』をご覧下さいませ~
また、最高神についてしりたければ 『蛙の快進撃』をご覧下さいね。
蛙の快進撃 http://ncode.syosetu.com/n0573db/
ーあらすじー
幼い眞鵺を助けようと飛び出した男は、その助けようとした男の子が忽然と姿を消したことで、トラックの前に突然飛び出した男して死んだ。
しかし、助けようとしたのが、眞鵺だったため異世界転生の権利を与えられたのだが、気の短い最高神により魑魅魍魎がばっこする世界で『アマガエル』されて転生させられた。
その扱いにより、神を見返そうと旅をする。