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4 記憶処理

眞鵺しんやの過去の改訂版です。

 ゆっくりと目を開ける。何故かぼんやりとしている


「夢か?」


 気がつくと、闇の中に立っていた。自分自身が、光のモヤを纏っているように光っている。

 下は、ぼんやりと発光して、足を動かすと波紋が起こる事から水面に立っているような感じだった。

 また、中は水に墨を流したように濃淡がある。


 漏れ出す光が大きい所から下を覗き込もうとした。なにかが判る気がして……


 何か見えた気がして、目を凝らした時、より苛烈かれつに光り思わず両手で顔を庇って目をつぶった。その時、光にのみ込まれる感覚がした。


 目を開けると、小さく(・・)なっていた……


 多分、3才ぐらいだろうか? 目線の高さや、手足の大きさからそのぐらいだろう。

 しかし、自分の思いどうりにならない体といい、勝手に動く口といい、どうやら過去に起こった出来事を体験しているみたいだ……


「シンヤ、ボウルで、遊んでくる〜」


 そう言うと、返事も聞かずに家から飛び出ていく。


『おい、危ないぞ! 一人で行くと……』


 今言ってもしょうがないということが分かっていても思わず叫びたくなった。


 しかし、3才児の頃の俺は、はそんなことを考えてないのかスキップをしながら近場の公園に行く。

 しばらく何事もなく歩いていたのだが、足元の石に躓き転けてしまった。すぐに起き上がり、目ににじんだ涙を拭きながらふらふらと歩きだしたのだが、ボールを持っていない事に気がついた。


 慌てて、顔を上げるとコロコロと転がっていくところが見えた。

 それを見たとたん、走り出した。


『おい、危ないぞ!? ボールだけ見て走るな!! 』


 案の定、大きな道路に出てしまう。

 一様、歩行者の方が青になっている。

 しかし、飛び出ていきボールを抱え込んで踵をかえそうとした瞬間、目の前にすごいスピードで走ってくるトラックが迫っていた。


 思わず、その場で目をつぶっていた。

 しかし、何時までも衝撃が来ない。うっすらと目を開けると、ボールを持ったまま家の前に立っていた……

 いったいどうなってる? そう思ったとき、体が浮き上がる感覚が起こった。


「なんだよこれ…… 俺の過去こんなんだったか? おかしいだろ…… 」



 この出来事のことを思い出そうとしても、全く思い出せない。


 ふと気がつくと、また暗闇に包まれていた世界に戻っていた。


 呆然としたまま深く考えようとした時、空間が外からなにかがぶつかって来るような衝撃が走り、崩れ落ちだした。


「は? 」


 光が収まった時、目の前には、巨大な芋虫がいた。

 しかも、背中にエミリーが乗って手を振っている。


 目の前の全ての現象に耐えきれなくなった俺は、ブラックアウトする感覚に身を任せた。


 ▽▼▽▼▽▼▽▼▽▼▽▼


 目を開けると、どアップの密編みの美人がいた……。

 慌てて、後ずさりながら声をかけようとしたとき頭が割れそうなほど強い痛みが起こった。


「痛…… 痛い、頭が割れる〜 って、な、何で神様の秘書さんが同じベッドに!? 」


「え、秘書? ……あ、そうでした、そう言う設定でしたね〜 コホン、改めて自己紹介しますね〜 例の神の秘書を務めています、雷呀らいかと申します。しばらく、お目付け役として派遣されました。しばらくお世話になります。」


「……設定って…… ってまさか、しばらくお世話になるって言ったか? 」


「はい、記憶処理をしましたのでしばらく頭が割れるような痛みが続きます。その処理と、エミリーの常識がないということで、お目付け役という役割を与えられました。そして、やっと敬語が取れた! 」


 なぜか喜んでいるが、それよりも気になった事がある。エミリーまさかの世間知らずだったことだ‥‥‥


「あっ、そういえばエミリーは? 」


 部屋を見回そうとして、昨日寝たログハウスの中ではなくなっている事に気がついた。


 白をベースに茶色で、落ち着いた雰囲気を醸し出している。階段があることから二階があるのだろう。それに、ベッドがふかふかだ〜


「えっと、ここどこですか? 」


「あー、えっと、あの島から見えていたでっかい島があったじゃないですか〜 あれの東の端にあたる場所です。敬語が‥‥‥」


 そう言った雷呀らいかさんは、なぜか、肩を落としていた。


「へっ?……いや、あの島で魔法の練習するって聞いていたんですが? 」


 たしか、エミリーが魔法を使うために島で練習するって言ってたんだが?


「いや、あの島にいると色々都合が悪いんですよ。それに、実際にこの世界のことを知ってほしくて…… ダメでしたかね? 」


 あごを引きながら下から見上げてくる、三つ編みの眼鏡美女の目はウルウルと潤んでいる。まるで、叱っているような錯覚を覚えた。


「いや、そんな上目使いされたら何も言えなくなるじゃないですか、それに言ってることも一理ありますし。もしかして、エミリーがいないのは移動したことを知らないからですか。」


 すると、思いっきり目を逸らされた。


 おや、図星か〜 まあ、エミリーならすぐに飛んできそうだがなぁー


 そう思いつつ、窓の外の青い空を眺めた。

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