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1 異世界に飛ばされる

 明るい日差しがまぶたをくすぐる。

 目を開けるとそこは見たことのない場所だった。

 青々とした草木が生えている場所など、ここしばらく見たことがない。

 それに、あまりの開放感に目眩がした。


 「ここはどこだ?」


 思わずつぶやいた。もし、これが夢ならば自分の深層心理に感激しただろう。それほど有り得ない風景が目の前に広がっていたのだがら……

 目の前には、空に浮いている島があった。まるで、天空の○ ラ○ュタみたいだ。

 今、俺がいる島も浮いている。しかもこの島は小さく、端に立っても向こう側が見えるぐらいだ。そして、百六十センチと男子にしては小柄な俺が、寝転がることがギリギリできる位だ。


 下を見ると火山が噴火している、山からはマグマが噴き出しておりその山の近くにはドラゴンが飛び、巨人が歩いている。


 しかも、森だと思われる場所は葉が漆黒で、中心にある池は鏡のような分厚い氷が張っている。

 人間が住めるとすれば、頭上にある大きい島の上しかないだろう


 どうなってる?さっきまで街にいて、殴られたようなきがしたんだけど? 地獄か? ビル群は?


「目をさませ!」


 そう叫びながら頬を強くつまみ、感覚があることに気がついて意識を失った。


 ▽▼▽▼▽▼▽▼▽▼▽▼


 俺、風間かざま 眞鵺しんやは、自他共に認めるニートだ。

 資金が底をつきかけたため久しぶりにバイトでもしようと思い立ち、親戚が営む本屋に顔をだそうと久しぶりに街に繰り出した。

 しかし、いつもの道は工事中だったため、いつもは通らない路地を探検気分で入ったのが悪かったらしい。案の定迷子になった。


「あー、人混みが苦手って言ってないで普通に大通りからいけばよかった。こんな日に限って携帯忘れるし………」


 そう愚痴りながら元の道に戻ろうと踵をかえしたときいきなり頭に衝撃が走り、疑問に思う前に意識を失った。


 これがここに来る前の記憶である。


 現在俺は、白い部屋のなかにいた。なにもなくただだだっ広い場所だ。


「……ここはどこ? 俺は、だr……風間かざま 眞鵺しんやだ」


 思わず自問自答をしてしまう位混乱していた。途中から記憶が戻り頭を抱えたくなったが………

 思うに、いきなり理解できない状況に陥り、パニック状態になって気を失ってしまったらしい。まぁ、あんな場所で目を覚ましたら誰でもパニックになると思うが………

 人間、理解できない事に陥ったときただ気絶し現実逃避するみたいだ。

 落ち着きを取り戻し、今いる場所を特定するために辺りを見渡すと、何故か懐かしいような気持ちになった。


「……気のせいか? この部屋知ってる気がする。というか、俺は死んだのか?」


 今いる白い部屋には、扉がなく部屋というよりは箱の方が近い。周りは煙に囲まれているかのように遠くまで見透せない。


「まったくどうなっている?」


 すると突如目の前に、オレンジ色のワンピースを着た翠色の瞳に桃色の髪の美少女が現れた。

 そう、まるで魔法のように………


「おひさ〜風間くん♪ 風間くんが会いに来ないから強制的につれてきてもらっちゃた〜 テへ☆」


「お前誰だ? 俺は、お前の事など知らんぞ。大体強制的というのはどう言うことだ?」


 クソ、頭が痛い。こいつ何処から現れた? 


「いや〜 まさか覚えていないなんてね。たった十年前のことなのに…」


 いや、十年前なら俺は十才だぞ。昨日のことでも興味がなければすぐ忘れるのに、十年前のことなんて覚えているか


「えー仕方ないな〜♪ 物覚え悪い風間くんにもう一度名のってあげましょう」


 いきなり真面目な顔をした自称神様は、咳払いをしてから話だした。


「ゴホン 我の名は 錘螺すいら。他の世界と均等を保つための神だ。お前の世界では、あまり知られていないが他の世界ではまあまあ人気だぞ フフン♪ まあ、少し人気になりすぎて他の神に殺されかけたけどね♪」


 へ〜 ソウナンデスカ……

 って、ちょっと待てよ。俺さっき声に出していたか?

 というより、『強制的』の件はかたずいてないぞ?


「あの〜 説明終わりましたか?」


 いきなり声がして、突如目の前に扉が現れた。その扉から眼鏡をかけた三編みのお姉さんが顔を出している。感じとしては、大きな会社の秘書みたいな?


「おー、雷呀ライカか。今、我の名前を紹介したところだ〜」


「つまり、何も説明してないと? はあ、なぜ簡単な説明すらできないんですか? うーん、頭痛がしてきました」



 いったい、こいつは誰だ? 名前は多分、雷呀らいかと言うのだろう。しかし、黄色い瞳に白色の髪と、この変な部屋に平然と居ること、そしてこの自称神様と会話していることが、こいつがただ人ではないことを証明している。


「おっと、申し遅れました私はこの使えない神様もとい、『すごく偉い』錘螺すいら様の秘書をしています、雷呀らいかと申します。風間様に致しましては、このような神に目を付けられたことを誠に同情いたします」


「いや、こちらこそ、こんな神の秘書をしていることに同情します」


「お前ら、この私がいる前でお互いに同情し合うな〜 しかも風間くん私と話すとき気軽に話してるし………」


 そう言うと、自称神様は後ろを向いてすね出した。

 ちなみに、俺たちはそのまま放置する事した


「じゃあ、そろそろ何故風間様がここに居るのか説明しますね」


 おお、雷呀さんが説明をしてくれるみたいだ。やっとこの信じられない出来事の説明が聞ける

 俺は、深々と頭を下げた


「よろしくお願いします」


「事の始まりは、あなたが十才だった時のことです。私達は何時ものように世界がうまく廻っているか、綻びがないかを調査していました。この神が作業に飽きたせいで変な事を言う前までは………


 〜回想〜


 下界を覗ける鏡の前で、真面目に仕事をしていた錘螺様はとうとう仕事を放棄した。


「もー 飽きた〜 どうせ、勝手に廻っていくよ〜♪ 綻びなんかそう簡単には出来ないよ〜」


 そういうと、下界から調査の為に持ってきた書物を手にして、読み耽り始めた。


「何を言ってるんですか 貴方が監視を怠ったから、核兵器が産まれてしまったんですよ!! 解ってるんですか!?」


「あれは、戦神が悪いんだ〜 僕は関与してないもん。そんなことより、下界のこの書物面白いよ〜♪ そうだ!! この状況創ってみていいかな? 多分、神の中で反対出ないと思うけど? 皆暇だしね〜」


「また変な事を… どんな話ですか? なになに『異世界でエンジョイしてます〜異世界革命日記帳〜』ということは、別の世界にこの世界から誰か送り込むということですか?」


「そう言ってるじゃん〜♪」


 私は呆れて何もいえなくなりました。


「はぁ、言ってる意味解ってますか? 大体誰にするつもりですか。この時代に神隠しなんかしたら、問題に成りますし、何処の国の人をどんな世界に行かすんですか?」


「う、それは……」


「考えてなかったんですね。そんなことより、仕事してください!!」


 そんなことを言っていたとき、【ブーッ、ブーッ】と、突然アラームが鳴り出した。


「何事ですか!?」


 すると、監視員の一人が来た。


「お騒がせしてすいません。錘螺すいら様、雷呀らいか様、綻びから人間が紛れ込んだみたいです。早急に見つけ出して記憶処理しますので、暫くお待ちください」


「いや待って、その紛れ込んだ人間は何処の国の人? ねぇ雷呀らいか、いい事考えたよ〜♪ さっきの計画の問題が解決したよ~」


「まさかですけど、さっきの計画本気だったんですか!?」


「本気に決まってるじゃない。別に、仕事したくないから適当な事言った訳じゃないからね〜」


 いや、絶対適当にいっていたと思いますが………


「で、その人間は捕まえたのですか?」


 少し八つ当たり気味に、仲間と連絡を取っていた監視員に聞いた


「あの、はい捕まったみたいです」


「じゃあ、行こうか雷呀らいか、異世界に行く人間を見に♪」


「あの、見に行くのは構わないと思いますが、出来れば問題を起こさないでもらえると……… はぁ、えっと、その紛れ込んだ人間は日本人だそうです。名前は、風間かざま 眞鵺しんや年齢は十歳です」


「大丈夫だって~ そして運命の人間は日本人と。都合がいいね~ 比較的神の存在曖昧だし、この本も日本からのだし!」


 こうして、異世界に行く人間は決まった。


 〜回想終了〜


「と、言うわけです。その後、風間様と会って余りに幼かったため十年後に綻びからまた来てくれる約束をして別れました。しかし、風間様は来てくれなかったので、迎えに行くことになりました」


 いや、そんなの覚えてないし、約束した覚えもない。しかし、その話が本当ならこの懐かしい感じも理解できる。頭が覚えてなくても体が覚えているのだろう。

 しかし、認めたら大変な事になりそうだ………


 そんな様子が、信じていない様に思ったのだろか。雷呀らいかが言い募ってきた。


「ちなみに、記憶処理されていますので覚えてないことは不思議ではないですよ。段々思い出して来るはずですよ」


「そう…ですか。と言うか自称神のせいでこんなことになったんですね…」


 さっきから、地面に『の』の字を書いている自称神に目を向けた。

 何で十歳の俺は簡単に約束したんだ…


「う、う、酷いや。十歳の時と同じで神様だって信じてくれないし、雷呀らいかの方になつくし……… 『異世界に行ってみないか』って言ったら、『ごめんなさい、お姉さんの事信じられないから後十年待ってから決めてもいい? 』とか若干酷いこと言いながら心の中では、『こんな、自称神を名乗ってる頭がおかしいやつから逃げなくちゃあ、貞操の危機だ!! 未来の俺ファイト!!』ってもっと酷いこと考えてるし〜 うえーん」


 訂正しよう、十歳の俺は偉かった!


「ということは俺、異世界に行かされるんですね?」


「そういう事に成りますね。ちなみに風間様がいた世界では、海の藻屑になったことになってます。遺書は、『ふと、自分の生活を振り返って絶望しました。お世話になりました。』という文書にしました」


「は…。俺死んだことになってるんですか?」


 嘘だろ… まかさ、帰れない?


「冗談ですよね? いや、俺あの生活気に入ってたんだけど? 部屋かたずいてないし、色々人目に触れさせたくない物もあるんだけど!?」


 まずい外堀が埋められた。

 もう、異世界に行く事が決定した……いやまだ道があるはずだ!!


 混乱している俺を見て、なぜか慌てたように錘螺すいらが早口に話しかけてきた。


「心配する事ないよ〜 異世界でも不自由しないように、すごいチート能力あげるからね。それで、無双してね。そうだ、異世界統一でもしたら元の世界に還してあげよう。頑張ってね〜♪ お、時間だ〜 いってらっしゃい♪」


「いや、ちょっとまてー……」


 桃色の髪をした神と、白色の髪をした神の秘書が、手を振ったのを最後に意識を失った。


 こうして、風間 眞鵺の異世界での生活は幕を開けた。


 ▽▼▽▼▽▼▽▼▽▼▽▼


「ふざけるな!! っと? あれ、ここは意識を失う前の小さすぎる島の上じゃ」


 そこは、寝転がるのがギリギリの最初に意識を失った島の上だった。


「……異世界統一する前に、ここから移動する方が問題だぞ…」


 下に行こうにも、数百メートル上空にいるし、どう考えても人なんか住めない環境だし…。

 上は、五十メートル登ればいいが、間が十メートル以上開いている。さすがに、飛び出せない。


「困った。うーん、そういえば自称神がチート能力をあげるって言ってたが、どういう能力だ? 何も説明されてないぞ?」


 首を捻った時、いきなり声がした。


「こんにちは、風間 眞鵺しんやさんですね。思ってたより美形ですね。その黒髪がそこはかなく神秘的ですね〜 あの、どこ見てますか? 私はここですよ?」


 キョロキョロしたが、見当たらない。そして、日本人の特徴とも言える黒髪を誉められるという奇妙な出来事により、異世界に来たことを意識してしまった。


「いやだから、上ですよ? わざとですか? 今、目が合いましたよね?」

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