未定
簡単に言えば、全身黒バージョンの執事服だ。
レベル上げのために光属性の上級精霊や聖獣と闘うことが多かった俺は、威力を弱めるため闇属性のアイテムを日頃から装備していた。
いささか厨二病すぎるアイテムだとは思いつつも、プレイするのが自分だけだったため気にせず装備したままだったのだ。
しかし今はそんなことは問題じゃない。
なにがどうしてこうなったかの理由がわからないのだ。
見慣れすぎた光景のせいで、ゲームが原因だと言うのは何となくわかる。
けれど、今の状態は現実ではまずあり得ない。
「何で、こんなことに…」
わからない、教えてくれ。
途方もない光景に頭を抱えた瞬間…
『お呼びですか?マスター』
不意に鳴り響く声。
驚いて顔をあげるが、目の前にはさっきと同じように静かな森が広がっている。
あわてて周囲を見渡すが、緑が見えるばかりで聞こえた声の主のような影はどこにもない。
空耳にしてははっきり聞こえたその声。
背中に流れる嫌な汗を感じると同時…
『空耳ではありません』
今度こそはっきりと、その声は俺の耳に届いた。
「だ、誰ですか?」
思わず敬語が出た。
はっきり言って俺は今びびっている。
『サポートサービスです』
マスターからしたら、ナレーションっと言った方がよろしいでしょうか。
「ナレーション?」
『はい』
「それって、あの画面の下に出る、ゲームの進行とかしてくれる?」
『はい』