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〜ゼロ・リトライ〜  作者: 門田 光
Ⅰ 鴉山の神隠し
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〜剣×剣2〜

 それから一週間が過ぎた。


 旧個社の調査はまだ中断したままだ。

 隆弘の奴、どうやら本当にオレと皐月の件が解決するまで、調査を再開するつもりはないらしい。

 一応、一人で独自に情報網を当たっているようだが、なにも言ってこないのを見たところ、進展はなさそうだ。

 かくいうオレも似たようなもので、先週から旧校舎についてはなにも関わっていない。

 いつも通り、生徒会の手伝いとバイトを繰り返す日々を送っている。


 そう……オレはまだ皐月とは仲直りしていない。

 一週間経った今も、口を利かず黙ったままだ。


 まさかここまで尾を引くとは思わなかった。

 相変わらず朝は起こしに来るし、ウチにご飯を食べにも来るけど、一度たりもオレに向けて喋ってはくれない。

 最近は目すら合わしてくれない始末だ。


 アオ姉はなにかあったのかと怪しんでたし、口には出さないけど姫川からも毎日心配そうな目で見られる。新塚先生にもその件で一言二言聞かれた。


 一番鬱陶しかったのはクラスの奴らだ。

 あいつら面白がって、オレと皐月が別れたのだの、浮気した、二股だったんじゃないとか、ないことばかり口にしていた。

 口の中に石鹸を突っ込んで、二度と汚いことが言えなくなるまで綺麗にしてやりたかった。


 ここのところ、ずっと憂鬱だ。

 梅雨時期の曇り空みたいな気分がずっと続いている。

 それもこれも全部皐月のせいだ。

 あいつはいつだってオレを困らせる。

 頼んでもないのにお節介焼いてくるし、なにか文句を言えばすぐ怒るし、殴る蹴る。


 くそ、どうしてあいつはあそこまで怒ってるんだ?

 まぁ、オレのせい……なんだろうなぁ。

 それくらい分かってるよ。

 時間が経ってから考え直してみると、確かにあの時のオレは態度が悪かった。

 仮にも女子相手に声を荒げるなんてみっともなかったさ。

 男として最低だ。


 この事態を収束させる方法。

 あれからずっと考えてきたが、一番手っ取り早いのはやっぱり、オレと皐月が仲直りすること、だろう。

 喧嘩したのなら謝って許してもらい、仲直りすればいい。

 子どもでも分かるシンプルなことだ。

 それが簡単に出来るのならどれだけいいか。

 今まで皐月とは、お互いに口を利かなくなるような喧嘩を何度かしたが、その都度時間が解決してくれた。

 オレも皐月も謝ろうとはしなかったが、気がつくと自然にまた話すようになっていた。

 そういう意味では、オレと皐月はちゃんと仲直りしたことなんて一度もないかもしれない。

 顔を合わせて、腹の内に溜めこんだ思いをぶつけ合って和解する。

 そんなやり取り……一度もしたことがない。

 こんなこと言うのは誠に情けないんだけど、これまでちゃんと仲直りした経験がないからこういう時、どうしたらいいのか分からない。


 仲直りってどうやってすればいいの?


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