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対策と傾向

「断れ」

「人の顔を見るなりいきなり何だ」


翌日、学院で顔を見るなりの私の言葉に、抗議してきたキースの声を黙殺して話を続ける。

挨拶より先に口をついて出てきたんだから仕方ない。

今の私にとって何より切実な問題なんだから。


「聞いてるだろ? うちの妹との縁談。お前から断れば万事解決だ」


こちらから断れないのならキースから断ってもらえば良いのだ。

普通は王族からの縁談など簡単に断れるものではないが、本人が良いと言っているのだから構わない。

もしそれで父様が文句を言うようなら、ほんとに家出してやる。

跡取りである兄様の身体のまま行方不明になればさぞかし困るだろう。


くらげのごとくふらふらしているキースのことだ。

王族との縁談など邪魔以外の何物でもないだろう。

お互いにとって平和な解決策だと思っての提案に、キースは平然と返してきた。


「何で女の子と出会える機会をみすみす逃さないといけないんだ」


…キースの言っていることが理解できない。


「出会いっつーか、見合いだぞ? お前だって嫌だろ。姫の相手なんて」

「何で?」

「王族が婚約者なんてなったら今までみたいに遊び歩けなくなるぞ」

「まあ、他のに興味なくなるくらい姫がかわいいかもしれないし?」

「女ったらしのお前が? 有りえないね」

「だって、俺が言っても紹介してくれないし」

「当たり前だ」


何故自分で自分を紹介しなくてはならないのか。馬鹿馬鹿しい。


「まあ、会うくらいは会うさ。陛下のお達しじゃどうせ無視できない」


確かに、キースの言うことも一理ある。

いくら有数の貴族とは言え、王の命令に対して大した理由もなく断ることは難しい。

キースならそんな型破りもありだろうと思ったが、何故かその気がないらしい。

…簡単に解決すると思ったのに。


「カラム、眉間の皺すごいよ」

「誰のせいだ」

「縁談ふったのは俺じゃないよ」

「お前の素行が悪いのはお前のせいだろう」


本当に何でこんなのを婚約者候補にしてきたんだか。


「失礼な。いくら俺でも王女相手に軽率に手出したりしないよ」

「すべての女性に対して慎重にしろ、近寄るな」


まあ、非の打ちどころのない好青年を相手に設定されても困るんだけど。

その辺りを考えると、すべてを自業自得で済ませられるキースが相手なのは都合が良いんだろうか。いや、やっぱり友人が相手だといろいろやりにくいから嫌だ。




仕方ない。

つまり、興味を抱かれないようにすればいいわけだな。


キースの好みは・・・えーと。

色っぽいお姉さんは、遊びだとか極悪なことほざいてたから違う気がするし。

可憐なお嬢様とかはどうせ出来ないから問題ないし。

ああ、でもこいつどっかおかしいから地を出してうっかり気に入られでもしたら困る。

素の私とは友人なんだから、性格は嫌いではないはずだ。男としてだけど。

恋愛感情でないとしても、そういう要素は消しとかないと。


いっそ、奴に気のある馬鹿っぽい女の子の振りでもするか。


執着を見せられたら手を切るという最低っぷりを見せるあの男のことだ。

そういう女の子っぽく振舞えばひくだろう。多分。


見た目だけはいい、というか女性関係以外はいいのに、惜しい男だ。




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