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女の敵

「最低!」


甲高い声のあとに、パシーンという小気味いい音が響いた。


音の発生源は確認するまでもない。

自分のすぐ横で繰り広げられていたのだから、嫌でも目に付く。


至近距離で友人――関係を改めた方が良いかと何度思ったか知れない――がビンタをまともにくらっていた。というか、避けなかったなコイツ。

一発殴られておけば相手の気が晴れるとか考えてるに違いない。最低だ。最悪だ。

女の子泣かせるとか信じられない。


「…キース」


制裁を加えて走り去っていった少女を視線で見送った後、

またか。と、ふんだんに軽蔑の眼差しを向けてやる。


「お前はもう世の中の女性に関わるな。手を出すな」

「あっちから寄ってくるんだよ」


肩を竦めてそんなことをのたまう女の敵。


「相手しなきゃいいだけだろ」

「それはそれで言い方考えろとか怒るくせに」


当然だ。


「手出しした相手にそういう態度をとるからだ。今のも自業自得。むしろもっと痛い目に遭えばいいと思う。世の女性たちも僕も溜飲が下がって大変清清しい」

「お前は本当かたいよな。そんなだから恋人の一人もいないんだぞ」

「余計なお世話だ」

「折角王子っていう身分隠してるんだから、もっと遊べば?」

「…お前見てるとそんな気失せる」


修羅場を終えたばかりとは思えないくらいいつもと変わらぬ態度。

この見た目だけは大変良い男は名をキース=ヘイドと言う。見てくれだけでなく家柄も良い、性格も悪くはないが女癖がとてつもなく悪い、女癖が悪いというか、来るもの拒まず去るもの追わずというか・・・可愛い女の子がいれば口説く、みたいな。とりあえず最低。


キースの女性関係については学院でも噂が立ってるはずなのに被害者が跡を絶たない。

見た目が良いというのは、年頃の女の子にとってはそれだけで魅力らしい。見た目が大事だと言う考えも否定はしないが、中身が伴わなくては意味がないではないか。


「そんなに言うなら、お前の妹姫紹介してくれよ」

「何故そんな話に繋がる」


少しは自粛しろと言った直後なのに。


「超却下。絶対お前にだけは紹介したくない」

「友人に対して失礼な」

「よく言うよ。この女の敵」

「女の子に興味ない男なんていないだろ」

「ああ、そう」


言い返す気が起こらない。もう、何を言っても無駄無駄。


自分にできることと言えば、こいつの毒牙にかからないよう女の子を少しでも遠ざけておくことくらいだ。



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