勇者、散る!
「裏切ったな、シグルズ!」
ヒルトは鬼のような形相でシグルズを暗殺する計画を立てた。
グンナルに命じ、何とかしろとせがむ。
妻にめっぽう弱いグンナル王は、かわいいヒルトちゃんのためだもんね〜、とばかり、賢い弟のヘグニに相談した。
「あんな女の言いなりですか。兄さんは困りものですな」
しぶしぶ、末の弟ゴトホルム(グートホルム)に『呪いの獣肉』というのを食わせた。
それは、食事にかけるまじないで、理性を狂わせる魔法だった。
「シグルズを殺せ」
とヘグニが弟に命じると、シグルズめがけて剣を振るい、シグルズに剣を突き刺した。
「ぐふっ、貴様、よくも!」
シグルズも負けじと、背中に刺されたグラムを抜き、
「これでも食らえ!」
とばかり、勢いよく剣を投げ飛ばす。
ゴトホルムも急所を貫かれ、死亡した。
こうなる前後には、ヒルトとグズルーンの仲たがいがあった。
奥様方は互いの夫の自慢を始め、とどまるところを知らない。
そこでうっかり、グズルーンは言ってしまった。
「あなた、これをご存じないのね」
グズルーンが見せたのは、なんとシグルズが前に自分によこしたはずの、あの指環だった。
「なぜお前がそれを」
「知らないの。お兄様と結婚するとき、シグルズ様がかわりにあんたと決闘したのよ」
騙されたと知ったヒルト、まだ何も知らないでのほほんとしているシグルズを蹴り倒したかったが、ここはぐっとこらえて殺す計画を練った。
シグルズが死んだと聞き、グズルーンは悲しみ、ヒルトはシグルズと一緒の荼毘に入り、高笑いした。
「あっはっはっは、これでシグルズはあたしのものだよ。永遠にね! あっはっは・・・・・・」
あの、あっはっは、って、そんなことばっかしてるから、あんた捨てられたのよ・・・・・・残念!
て感じなんだけど・・・・・・。
それに、武勇に優れたヒルト様がおかしい。
なんで女々しくなってんだ?(グンナルに頼るところ)