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僕と彼女①

やっとこさ『彼女』が出て参ります。過去最短のこの回ですが、

ハッキリいってクソですが、

読んでやってください。

あんだけ裏切る宣言しときながら「う」の字もないという(・-・;)ゝアラ?


まっ、話はまだまだこれからやぁぁぁ!


僕はたぶん、5メートルを人生最速で走ったと思う。間にあわない!と思って仰向けに滑り込んだら、女が僕の上半身に落ちてきた。小柄であるから、割にあって軽い。しかもすっぽり収まるサイズだ。

「あぅっっ・・・・・。大丈夫?」

カッコ良く助けたかった訳じゃないが、「あぅっっ」って!ものすごい情けない声が出た。

「わっ!!!!ごめんなさい!私は大丈夫ですが、ケガありませんか?!」

僕の上から降りると先に言われてしまった。『ケガありませんか?』僕が聞こうと思ってたのに。

「大丈夫です。」

「本当にすみません。立てますか?」

「はい、平気です。それより、高いとこ手伝いますよ。」

「えっ!そんな、結構ですよ。」

「また落ちたらどうするの?」

「うっ・・・それは・・・。」

「でしょ。言ってくれたら戻します、本かしてください。」

僕は脚立を起こして登った。女は「じゃあ…」と遠慮がちに、でも爽やかな笑みを浮かべた。女が本を渡して場所を指示、10冊ほどで終了し僕は脚立を降りた。

「ありがとうございました。いろいろと助けて頂いて・・・。」

「いいよ。」

「あの、少し待っていてもらえますか。」

「はあ。」

僕が返事をすると、女は関係者以外立ち入り禁止の扉へ入っていった。

そういえば、鞄はどうしたっけ?あまりに必死すぎて頭から飛んでいた。さっき立ち止まっていた辺りまで戻ってみると、顔と前脚を鞄から出してヘタっている猫がいた。

「いってぇ・・・ご主人、ちょっとはオレのこと考えろよ!鞄ごとオレを投げるなんて考えらんねぇ。」

「これは悪かった。ごめん。緊急だったんだ。」

「緊急とか関係ねぇよ。」

「いや、大有りだから。」

そんなことをコソコソ話していると、女が戻って来た。

「私、馬山愛<まやまあい>といいまして、ここの司書をしております。体の具合とか、何か変わったことありましたらご連絡下さい。」

そう言って、メモ用紙を1枚渡された。そこには彼女の携帯番号とメールアドレスが記されていた。

「あぁ、わかりました。僕は犬上優、一応獣医です。」

「犬上さん、わかりました。では、私は仕事に戻らなければいけないので。」

そう言うと彼女は深く頭を下げて行ってしまった。



僕猫<ぼくら>は市役所を出て猫が行きたいと言った自然公園へ来ていた。そこで猫が自由に散歩したかったらしいので、時間を決めて待ち合わせ場所で会うことにした。他のネコとはちがって猫は意外と賢い。時計が読めるんだ。ただし時間の計算まではできない。

猫は僕から別れて行ってしまい、僕は待ち合わせ場所である木陰になっているベンチに腰掛けてボーっと空を眺めた。そして何故だか馬山さんの爽やかな笑みが蘇る。人はよく、愛想笑いとか営業スマイルとかいう偽りや無意味な笑みを使う。僕は症状のせいもあり、笑みにはかなり敏感で、そういう類の笑みによく気持ち悪さを感じる。動物は多少ひねくれていても根本は素直なので、人のように喜怒哀楽を演じたりするのを見た事がない。動物が笑う事、それは心から嬉しかったり楽しかったり面白いと思ってるって事なんだ。

彼女の笑みには動物に近いものがあった。なんというかこう・・・気持ちが溢れ出てるといのうか、とにかく温かい気持ちが伝わってくる感じだった。人間、そう簡単にそんな笑みは出せない。大人なら尚更難しい事だ。だから彼女みたいな人は珍しいと僕は思う。

「馬山さん・・・。」

「さっきの女がどうかしたか?」

かなりの時間ボーっとしていたらしく、猫が戻ってきた。

「へぇっ!なんで?」

「馬山さん・・・。ってボソッと呟いてたぞ。」

自分でもびっくりした。完全に無意識だった。

「聞き間違いじゃないの?それよか、もう散歩いいの?」

「いやぁ、腹へって。」

猫は彼女についてそれ以上突っ込んでこなかった。たぶん彼女より空腹のことの方が猫にとっては大きな問題だったんだろう。時計を見ると13時30分。どうりでお腹が空いているはずだ。

「確かこの近くに一緒に入れる喫茶店があったんだよねー・・・。」

「マジ!そんじゃ、そこ行こうぜ。」



こうして僕猫はペット同伴で入店できる事で話題の喫茶店へ入った。メニューも豊富で、ネコの為のもちゃんと用意されていた。

「オレこれがいい!」

猫が指したのは栄養価コントロールされた魚のマリネのような物だった。見かけはとても豪華でネコ食には見えなかった。

「わかった。──すみませーん。これと、これください。」

「はい。かしこまりました。」

僕はメニューを指差しながら注文した。店員は笑みを浮かべながら対応していたが、それを見ると彼女の笑みが本当に特別なものなんだと感じられる。

しばらくすると料理が運ばれてきた。猫が注文したマリネと、僕が注文したシーフードパスタが美味しそうな香りを放っている。パスタはともかくネコ食からも香りがするなんて、最近のは凄いんだなぁ…。と思った。

「「いただきます。」」

僕猫は声を揃えてあいさつし、ゆっくり味わった。

「おぉ、なかなかうめぇな。まぁカリカリまんまには勝てねーけどな。」

「それでもカリカリまんまのが上なんだね。」

「おぅ。あれは最強だからな。」

よく意味が分からなかったが、「うめぇ」と言いながら物を食べる猫はこの上なく幸せそうな顔をする。この顔を見ているとこっちまで笑ってしまう。そしていつも言われるんだ。

「何笑ってんだよ。やんねーぞ。」

って。また言われた。僕のお気に入りのパターンその2だ。

「別に大した事じゃないよ。それに、猫の食べ物はいらない。」

そんなやり取りをして僕猫は笑う。単純で簡単な事だけど、とても重要だと思う。



喫茶店を出て僕猫は駅に向かった。また明日から仕事だ。疲れるなぁ…。と思ったけど、馬山さんの笑みを思い出すと疲れない気がする。そんな事を思いながら、猫と他愛ない話をしながら、笑って歩いている。

町に春が来たのを感じて。

でも僕自身に、季節の変わり目が到来しているということには気づかないまま。


今回短めやった分、次は長なると思います。

どうかよろしくお願いします。



次回、猫が大活躍(?)

お楽しみに。

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