哲学的生徒会長 ~わかんない~
哲学的対話、僕にはわがんね。
瞑想する会長、やっぱ可愛いなあ。
生徒会室、スマホで焚き火の音を流しながら、会長は目を閉じ、瞑想をしている。
椅子に座り、手は膝、仏陀みたいに、あぐら、なんてことはできない。
僕と、会長、2人きり。
ちなみに僕は副会長、なぜなら会長が好きだから。
そして、目を開け、
「そろそろだね」
「頑張ってね」
「瞑想は、心を鋭くするためにするものだ。
じゃあ、心のない人がしたら、どうなんだろうね」
哲学わがんね。
僕は微笑んでうなずく。
ごまかし。
「紅葉って、何がいいんですか?」
人形みたいな少女は、会長に聞く。
体は細く、おかっぱ。
西洋の人形というより、市松の方だろうか?
多分。
昼休み、会長はよく、生徒と哲学的対話をする。
今日は、紅葉のよさとは何か。
秋だから、だろう。
「ただ赤いだけじゃないですか」
「確かに、紅葉は赤いね」
「それの何が綺麗なんですか?」
僕は黙って聞いている。
わかんないもん。
「誰が、綺麗って言うのかな」
会長は真剣、少女も真剣。
真剣的対話。
「誰が」
「誰かが綺麗って言うから、綺麗って言うけどって思うのだろう?」
「そりゃ、家族、母とか。あと、ネットとか」
うんうん、と会長はうなずく。
「母は、どんな人?」
「純粋で、詩が好きで。あと、優しい、多分」
会長は目を閉じ、腕を組む。
そして、目を開けると、
「君とまた秋を迎えることができた、それが嬉しいんじゃないのか、と私は思う」
「はい?」
「秋は、紅葉。優しいのなら、きっと、お母さんは君を愛しているのだろう。迎えることができて、嬉しい。
だから、紅葉も綺麗に見える。
紅葉を一緒に見れるのがいい気持ちだから、美しく見えるのだろうね」
そして、少しの間。
「じゃあ、どうしたら私も綺麗に見ることが
できますか?」
「感謝、かな。ベタだけどね。
お母さんへの感謝、周りの人たちへの感謝。そしたら、自然に綺麗に見えると思うよ」
会長は、微笑む。
「ありがとうございました、相談してよかったです」
「こちらこそ、素晴らしい時間をありがとう」
会長と少女は握手をする。
笑顔の会長、微笑む少女。
よかったよかった、と僕はうなずく。
「紅葉、見に行く?」
「いいね」
やった! デートが決まった!
哲学的対話は、今日も無事に終わった。
よかったよかった。
でも。
うん。
何言ってたか、わがんね。
読んで頂き、ありがとうございました。




