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哲学的生徒会長 ~わかんない~

作者: 鍋の地
掲載日:2025/11/05

哲学的対話、僕にはわがんね。

瞑想する会長、やっぱ可愛いなあ。


生徒会室、スマホで焚き火の音を流しながら、会長は目を閉じ、瞑想をしている。

椅子に座り、手は膝、仏陀みたいに、あぐら、なんてことはできない。


僕と、会長、2人きり。

ちなみに僕は副会長、なぜなら会長が好きだから。


そして、目を開け、

「そろそろだね」

「頑張ってね」

「瞑想は、心を鋭くするためにするものだ。

じゃあ、心のない人がしたら、どうなんだろうね」

哲学わがんね。

僕は微笑んでうなずく。

ごまかし。




「紅葉って、何がいいんですか?」

人形みたいな少女は、会長に聞く。

体は細く、おかっぱ。

西洋の人形というより、市松の方だろうか?

多分。


昼休み、会長はよく、生徒と哲学的対話をする。

今日は、紅葉のよさとは何か。

秋だから、だろう。


「ただ赤いだけじゃないですか」

「確かに、紅葉は赤いね」

「それの何が綺麗なんですか?」

僕は黙って聞いている。

わかんないもん。

「誰が、綺麗って言うのかな」

会長は真剣、少女も真剣。

真剣的対話。

「誰が」

「誰かが綺麗って言うから、綺麗って言うけどって思うのだろう?」

「そりゃ、家族、母とか。あと、ネットとか」

うんうん、と会長はうなずく。

「母は、どんな人?」

「純粋で、詩が好きで。あと、優しい、多分」

会長は目を閉じ、腕を組む。

そして、目を開けると、

「君とまた秋を迎えることができた、それが嬉しいんじゃないのか、と私は思う」

「はい?」

「秋は、紅葉。優しいのなら、きっと、お母さんは君を愛しているのだろう。迎えることができて、嬉しい。

だから、紅葉も綺麗に見える。

紅葉を一緒に見れるのがいい気持ちだから、美しく見えるのだろうね」

そして、少しの間。

「じゃあ、どうしたら私も綺麗に見ることが

できますか?」

「感謝、かな。ベタだけどね。

お母さんへの感謝、周りの人たちへの感謝。そしたら、自然に綺麗に見えると思うよ」

会長は、微笑む。




「ありがとうございました、相談してよかったです」

「こちらこそ、素晴らしい時間をありがとう」

会長と少女は握手をする。

笑顔の会長、微笑む少女。

よかったよかった、と僕はうなずく。




「紅葉、見に行く?」

「いいね」

やった! デートが決まった!

哲学的対話は、今日も無事に終わった。

よかったよかった。

でも。

うん。

何言ってたか、わがんね。

読んで頂き、ありがとうございました。

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