番外編 好み
「春喜さー。好みのタイプって何?」
「ポケモン?」
「女子の」
たまに突拍子もないこと言い出すなこいつ。中学2年の6月頃。中間テストに備えるために、俺と桜楽は教室に居残って勉強をしている。数学の問題に桜楽がいちいちため息を洩らすことがめんどくさいが、それ以外はまあまあ順調に進んでいる。
「何ですか急に」
「ほらほら早く」
「なんで言うの確定?」
「なんでもいいから、髪型とか、性格とか、巨乳派か貧乳派かとか、LINEは3分以内に返さないと病む派とか」
「最後の何?」
「ねえねえ教えてよー」
「なんなんだ……そのページ全部終わったらいいよ」
「よっしゃー!」
桜楽のシャーペンがもの凄いスピードで動く。ドーピング剤でも打ったのかと疑いたくなる。
「よし終わった!」
「早っ!?」
「さあさあ、約束は守ってもらうよ。カモーン」
「ええ……ええっと……煙草吸わない」
「なるほど」
「なんでメモる?」
「他には?」
「口開き料として3ページいただきます」
桜楽はシャーペンを漫画のキャラのようにズババッと走らせる。なるほど、この勉強方法は悪くないかもな。
「よしできた! さあ2つ目は!」
「遅刻しない」
「遅刻しない……ん? これ女子の好みってより人間の好みじゃない?」
「当てはまりはするぞ」
「そうじゃなくてぇ、なんかこう、さあ、もっとあるじゃん!」
「んなこと言われても。じゃあ桜楽の好みも聞かせてよ。参考に」
「私の?」
裏なんてなかった。ただ適当に言ってみただけ。なぜか桜楽はにんまりと笑顔を浮かべていた。
「私は明確にあるよー好み」
「というと?」
「1つ、話が合う人。2つ、強い人。3つ…………」
「え? 3つ目は?」
「ないしょー」
おいおいまじか。ここまで言っておいて。
「春喜も2つしか言ってないからね。これで公平」
「なんだそりゃ。強い人ってアバウトだな」
「とりあえずジョンウィックレベルかな?」
「軍人からでもないと無理だな」
「あはは、冗談だって。でぇも、案外近くにいるかもよ?」
人差し指と親指で輪っかを作り、スコープのようにして右眼の周りにくっつける。そんな風に覗いても俺しか見えないんだが。
「殺し屋が側にいるなんて御免だね」
「そっちじゃなくてぇ…………まあいいや。ねえ、映画観ながらやらない?」
「捗らないだろ」
「あーコンピューターペンシル欲しいー」
文句を垂れつつ、桜楽はシャーペンで問題を解いていく。スピードはさっきよりは落ちていた。
どうも、坂田リンです。
新たに長編を描き始めました。ここで1章が終わりです。とりあえず1章を全て投稿しました。これから1章ごと、もしくはキリのいい所までを投稿したいと思います。2章をお届けするにはまだ時間がかかります。これから春喜たちの物語を加速させていくので、どうかよろしくお願いします。
もしよろしれけば、感想・ブックマークをよろしくお願いします。作者がとても喜びます。




