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異世界人は突然に 2

「そなたが不用意に受け入れるからこうなってるのだ。そなたは美しいものに弱いのも問題だが、同情を引かれるとすぐにコロッといくのがダメだな」


「もうー、わかってますよぉ……」



わかっていますけど…でも、愛称で呼ぶことを許したらこうなるとか誰が思います!?



前までは、レオン殿下を無色である私が何かで脅して侍らせている、みたいな噂がほとんどだったが、今は私が()()()()()()()()()()使()()()()()()みたいになっている。


どちらにせよ最悪だ。



「それにしても、ヴィサスが愛称自慢を始めた時は、思わずそなたの身体で笑い転げてしまうところだったぞ?あれは傑作だったな!」


「もう!人のこと馬鹿にして!あのときは大変だったんですから!」



ヴィサス様が愛称で呼び合うようになった話を始めた時は、あまりにも幸せそうな表情で語るものだから、二人が羨ましがって自分たちも愛称で呼び合いたいと大変だった。


もちろん、殿下二人を愛称で呼ぶなんて不敬な真似ができる訳もなく、丁重に断らせて頂いたが。



「そんなに言うなら、全部断ればいいではないか。何故大人しくしているのだ?」


「それができたら苦労しません!魔王にはわからないでしょうけどね!」



だって、二人の殿下からお誘いを受けたら、立場上断りづらい。


それに、私に配慮してお付きのメイドでお誘いしてくるようになったから、余計に気を使ってしまうのだ。


むしろ強引な事をしてくれたら、こちらもそれ相応の対応が出来るのだが……



まあ、()()()()()()()()()ヴィサス様が乱入してくれるおかげで、二人きりにならずに済んでいるのが唯一の救いか。



「ふーん、人間たちは何かと大変だな」


「…他人事みたいにしてますけど、ルナも同じ身体なんだから関係あるんですからね?」


「ふむ、そうか?なら、妾が何かしたほうがいいのか?」



そう言われて、私は想像してみる。


…………うん、ないな。



「ごめなさい、やっぱり何もしない方が良いです」


「そうであろう?まあ、そなたの中から応援してるから、もしものときは妾がなんとかしよう」


「……そのときはお願いします」



あまり期待しないでおこう。



コンコン。



「メアー?そろそろ行かないと遅刻しますよー?」


「あ、もう少し待ってください!すぐ行きますので!」



扉からノック音とヴィサス様の声が聞こえる。


ヴィサス様とは毎朝一緒に登校する約束をしており、朝はいつもこうやってヴィサス様が迎えに来てくれるのだ。



時計を見ると結構いい時間。

ルナと話していたら、いつの間にか始業時間が迫っていたらしい。


私は急いで支度して、外で待っているヴィサス様のもとに向かった。

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