ヴィサス・カサンドラは心酔する
ごきげんよう。
私の名前はヴィサス・カサンドラ。
シャーユ王国の四大公爵家の一つ、カサンドラ家の長女。
ほぼ全属性の魔法を扱えるという才能を持つ私は、魔法のカサンドラ家の誇りであるという自負があります。
その分期待も大きいので、日々自己研鑽は欠かさない私ですが、今とても幸せなことがありました。
「メア……フフッ、いい響きですね♪」
あのメアリー様と、愛称で呼び合えるようになりました!
しかも、メアリー様は愛称で呼ばれたことが無いと言っていました。
つまり、私がメアリー様の初めてを奪ったと言っても過言ではない訳です!
「おっと……淑女たるもの、興奮し過ぎて我を忘れるなど、いけないことです」
え?さっきは思いっきり興奮して気持ち悪い顔になっていましたって?
…………忘れてください、今すぐに。
ここはウィーリング学園の女子寮にある私室。
ウィーリング学園では、入学する際全員が必ず寮に入る仕組みになっている。
一人一人に個室が与えられ、そこにはお風呂やトイレだけでなく、メイド専用の部屋が隣接されていて、お付きのメイドと一緒に寮に入るのが一般的となっている。
もちろん、防音対策もバッチリ。
さらにお付きのメイドはお使いで外に出ているので、多少音を出そうとも誰にも聞こえないので安心という訳だ。
「この調子でもっともっと仲良くなって、いつかは……エヘヘ…」
妄想が捗ります。
「メアリー・フェリシテ様……お慕いしております……」
思わずこぼれた呟きが、部屋の中に消えていく。
そう、私ヴィサス・カサンドラは、メアリー・フェリシテ様のことを本気でお慕いしております。
きっかけは、ゴブリンたちと戦ったあの日。
自分の命を捨ててまで私を守ってくれたあのとき。
メアリー様が私の身代わりに切られ、私が泣きながらメアリー様の名前を呼んでいたとき、貴方は自分が切られて苦しいにも関わらず、自分よりも私の心配をしてくださいました。
話すのも辛いはずなのに、そんな中、私を唯一守りたい女の子だと、魅力的な女の子だと言ってくださいました。
そして、そんなメアリー様に何もできず泣くことしかできなかった私に、メアリー様はお礼を言ってくださいました。
こんなことをされて惚れない女の子が、果たしているのでしょうか?
「さて、こうしている場合ではありません。メアが他の人に取られる前に、行動を起こさなくては」
幸い、メアリー様はまだ誰のことを好きでもない様子。
今ならまだ、私にもチャンスはあります。
女同士という不利はございますが、そこは愛の力で乗り越えてみせます!
「メア…本気で行くから覚悟しててくださいね?」
誰もいない部屋で一人呟く。
絶対に誰にも渡しませんよ。
メアリー様は…メアは私の運命の人なんですから。




