新たなる求婚者? 7
「メアリー様は誰にも渡さないから心配しなくていいですよ」
「え?なにか言いました?」
「いいえ。何も?」
ヴィサス様の方から何やら声が聞こえてきた気がするのだが、どうやら気の所為だったみたいだ。
「あ、そうだ。メアリー様に一つお願いがあるのですが、その…聞いてもらえますか…?」
そんな事を言いながら、急に恥ずかしそうにするヴィサス様。
あれ、なんだかもじもじしていらっしゃる?
それに徐々に視線が下にいっているような…
私の胸を…見てる…?
あ、まさかですけど……ヴィサス様も私の胸に興味が…?
確かに、私の胸は他の同性の方と比べて大きい方ですが…
レオン殿下も思わずモミモミされたくらいですし。
あ、もしかして…胸を大きくする方法でも知りたいのでしょうか?
ヴィサス様も立派なものをお持ちとは思いますが、そこはやはり公爵令嬢といえども女の子。
どうしても気になっちゃうものもありますよね。
どんな悩みだろうと悩みは悩み。
正直、勝手に育ったのでお力になれるか分かりませんが、このメアリー、出来る限り力になりますよ。
「…………何やら失礼なことを考えてる雰囲気がしますが、たぶん違いますよ?」
……なんてね。
知ってました。
まあ、ヴィサス様が胸の大きさなんかに拘るはずありませんよね。
私が何を考えていたのか伝えると、ヴィサス様は最初はふんふんと聞いてくれていましたが、最後には顔を真っ赤にされて慌てて否定しました。
「……っ!ちょっと恥ずかしくて顔が見れなくなってしまったので視線が下がっただけです!そんな勘違いをするなんて破廉恥ですよ…!」
「そうですか?やはり女性たるもの、自身のサイズは気になるものではありませんか?てっきり、ヴィサス様もそうなのかと…」
「も、もう!みんながみんなそういう訳ではありません!それに私は今のサイズに満足しています!」
「ヴィサス様は今のサイズに満足されている…と」
「もう!メアリー様!」
真っ赤な顔でぷりぷり怒るヴィサス様。
可愛い。
「と、とにかく!私が言いたいのはそんなことではなくてですね、私はメアリー様と愛称で呼び合いたいのです!」
恥ずかしいのか、ちょっと顔を赤くしているヴィサス様。
愛称っていうと、あの家族とか婚約者同士とかで呼んでるあれのことでしょうか?
相当親しくないと愛称で呼び合わないとか。
それを私と?ヴィサス様が?
「えっと、いいんですか?そういうのは家族とかとするものだと聞いたのですが」
「今時は友達同士でもするんですよ。もちろん、それなりに親しくないとしませんが…メアリー様は、私とじゃ嫌、ですか?」
そう言って、首をかしげながら上目遣いで私の顔を覗き込む。
……あざとすぎるやろがーいっ!
そんなことをされて断れるやつがいるのだろうか?いやいない。(反語)
「い、いいですよ。なんとお呼びしたらいいでしょうか?」
「ありがとうございます!それでは、私のことは家族と同じように、ヴィーと呼んでほしいです…!」
再び、もじもじされていらっしゃる。
とても可愛い。
でも、いざ愛称を呼ぶとなると私もなんだか気恥ずかしいですね…
まあ、何度も呼んでいればいずれ慣れるでしょう。
覚悟を決め、呼んでみる。
「ヴィ…ヴィー?これでいいですか…?」
「はうっ……!」
私が愛称で呼ぶと、ヴィサス様は何故か苦しむかのように胸を押さえる。
「え、急にどうしたんですか?何か痛いところでも?」
「いえ……嬉しすぎて胸が苦しくなっただけです……」
…………心配して損した。




