新たなる求婚者? 5
「何故過去形なのか、と思っていますね?」
え、何故バレたのですか!?
私のポーカーフェイスは完璧のはず…
バレる要素など、少しもないはずなのに…!
「あ、次は何故バレたのか、と思っていますね?」
「え、あ、な、何故?」
またもや心の中を的中させられ、焦りのあまり思わず聞き返してしまう。
そんな私を見てヴィサス様は、フフ、と右手を口に添えて微笑んだ。
「メアリー様は、ご自身で思うより結構表情が変わっているんですよ?知りませんでした?」
え、本当に?
今までそんなこと言われたことないですよ?
「私から見たら、コロコロ表情が変わっていてすごく可愛らしいですよ?」
「か、可愛い!?」
「はい。とても」
お世辞では……ないですね。
表情を見ればわかります。
綺麗だとかはお世辞で言われたことはありますけど、可愛いは……あ、魔物狩りの実習でレオン殿下に言われましたっけ?
あれ言われると、むず痒くなってなんだか恥ずかしい気持ちになっちゃいます…
「フフッ、恥ずかしがってるメアリー様は特に可愛らしいですね。メアリー様って、ストレートに褒められるのは苦手ですよね?」
そんな私の様子を見て、ヴィサス様はまた微笑む。
くそぅ…なんだか私ばかり弱点を知られてばかりで不公平な気がします…
むー!可愛い可愛いってうるさいです!
頬を膨らませて抗議の意を伝える。
「あ!それすっごく可愛いです!これは愛でずにはいられません!」
そう言って、ヴィサス様は私の頭を撫で始める。
「はぁ~……私のメアリー様……」
うっとりした表情で私の頭を撫で続けるヴィサス様。
「子供扱いは止めてください!レオン殿下のことはどうしたんですか!?」
撫で続けるヴィサス様の手を掴んで、ペイッ、と空中に放る。
「フフフ……あ、そういえば、何故過去形なのか、説明してませんでしたね」
途中で正気に戻ったのか、頭を撫でるのを止めてくれた。
「理由は簡単ですよ。レオン殿下のことは確かにお慕いしておりました。でも私気づいたんです。それはただの憧れであって、恋心と勘違いしていたんだ、と」
…………つまりどういうこと?今は好きじゃないってことですか?
余計に混乱する私。




