新たなる求婚者? 4
「とにかく、取り合いだなんて醜い真似は今後なさらないように。特に、人の目を引くような場所では注意すること。メアリー様のことが本当にお好きなら、出来ますよね?」
「は、はい!気をつけます!」
「お、俺も、気をつけます!」
「…はい。これからは取り合いではなく、いいところを見せてアピールするなどがいいかと。もちろん、目立つようなことはメアリー様が苦手ですので注意しましょう」
「「はい!わかりました!」」
「よろしい。何かあれば私が相談に乗りますので。それでは解散!」
「「了解!」」
そう言って、二人は解散してしまった。
…………あれ?いつからここは軍隊になったんです?
というか、流れで二人共解散しちゃいましたけど、それでよかったのでしょうか?
まあ、私としては、あの二人と関わると疲れるのでその方が都合がいいんですけど。
とにかく、助けてくれたヴィサス様にお礼を言っておかないと。
「あ、あの、ありがとうございます。助かりました」
「いえいえ。困ったときはお互い様ですから」
そう言って笑顔を向けてくるヴィサス様。
あまりの眩しさに、思わず目が眩んでしまいそうになる。
って、そうじゃないそうじゃない。
ヴィサス様は、レオン殿下がお好きだったのではないのか?
今までのヴィサス様なら、嫉妬の視線くらい飛ばしてきてもおかしくないと思う。
実際、魔物狩りの実習の時も、そんな視線を感じていた。
それくらい、レオン殿下がお好きなヴィサス様だからこそ、いつの日だったか私を校舎裏に呼び出していろいろお話したのではなかったのか。
「フフフ、メアリー様にも苦手なことがあるのですね。なんだか私、メアリー様に頼られていい気分です」
だが、今のヴィサス様には、校舎裏で詰め寄ってきたときみたいな、レオン殿下大好きオーラが感じられない。
一体どうされたのだろうか…
「あの、ヴィサス様?ちょっとお聞きしたいことがあるのですが…」
「はい、なんでしょう?」
「あの、レオン殿下のことなんですが…」
……あれ、ちょっと待って…これ聞かないほうがいいのでは?
ヴィサス様からしたら、自分の想い人が他の人に求婚してるなんて話、されたくないはずです。
実際、私でもそう思いますし。
あぶないあぶない…危うく嫌な女になるところでした…
ここはなんとか誤魔化して、ヴィサス様の気をそら__
「レオン殿下、ですか?……ああ、もしかしてレオン殿下をお慕いしていたことでしょうか?」
…あ、間に合いませんでした。
これ、やっぱり気を悪くされましたよね…?
…というか、察しが良すぎませんか?
私、まだレオン殿下しか言ってませんのに。
…って、ん?お慕いしていた?
何故過去形なのでしょうか?




