新たなる求婚者? 2
「と、とにかくお立ちください。皆様方が見ておられますよ?」
「そんなことは関係ない。僕は今、君しか見えていないのだから!」
「そ、そうですか……」
ジト目で睨みたい気持ちを何とか抑え、笑顔の仮面を貼り付ける私。
うん。私、偉い。
……それにしても、またキャラが濃い人が出てきてしまった。
それにここは教室前の廊下。
周りの注目を集めに集めまくっててとても恥ずかしい。
王族はみんなこうなのか。
本当に止めてもらいたい。
「ちょっと待ってくれ!」
そのとき、廊下の奥から声が聞こえる。
「レオン殿下!」
「レオン、今僕は忙しいんだ。後にしてくれないか?」
奥から声をかけてきたのはレオン殿下だった。
急いでいるのか、小走りでこちらに近づいてくる。
「待ってくれ兄上。メアリー嬢にはすでに俺が婚約を申し出ている。申し訳ないが、他の人にしてくれないか?」
「何を言っている。その婚約はまだ受け入れられていないのだろう?なら、僕がどうしようと自由なはずだ」
「くっ!それは…っ!」
……あれ?なんか私をめぐって争いだしてません?
王族が2人も集まって、その2人が無色をめぐって争うなんて目立つなんて次元じゃない。
ただでさえ無色が王族を侍らせていると悪い噂が流れているのに、この二人は私を社会的に抹殺したいのかな?
「あら、メアリー様。奇遇ですね」
「あ、ヴィサス様!」
そこに、ヴィサス様がたまたま通りかかってくれた。
思わず駆け寄って、ヴィサス様の後ろに隠れてしまう。
「あら?どうしまし…あ、なるほど…」
目の前の状況を見て、すぐに察してくれるヴィサス様素敵!
惚れちゃいそう!
はぁ、と小さくため息をつくと、ヴィサス様は二人に向かって話しかける。
「お二方、横から失礼いたします。ここは共用の廊下ですので他の方に迷惑がかかってしまいます。場所を移した方がよろしいかと存じますが、いかがでしょう?」
「え?ヴィサス嬢?あ、メアリー嬢も何故そんのところに?」
「あ……これは申し訳ない。すぐに場所を移そう。兄上もそれでいいよな?」
「え、あ、そうだな…そうするか……」
ヴィサス様の後ろに隠れる私の様子を見て、さすがに思うところがあったのか、ヴィサス様の言うことを素直に聞いてくれる二人。
ヴィサス様のおかげでやっと人目の少ないところに移動できそうだが、それまでに随分と目立ってしまった。
これで何事もなければいいのだが……
そのとき、遠くの廊下の角からこちらをジーッと見ている者が居たのだが、他の視線に気を取られていたのと、やっと移動できることに安心したのが重なって私は全く気づかなかった。




